「一揆」と「SNS」歴史作家が語る驚きの"共通原理" 意図的に自分の名前を広めようとした首謀者も

一言では説明するのが難しい「中世」という時代
垣根涼介(以下、垣根) 呉座さんは中世がご専門ですよね。そもそもなぜ中世を選んだんですか?
呉座勇一(以下、呉座) 一言でお答えするなら、中世が一番わかりにくい時代だからでしょうか。
古代はいわゆる律令国家の時代で、都にいる天皇を中心に政治が行われました。近世、いわゆる江戸時代は、江戸幕府があって、徳川将軍家を中心とした秩序がある。近代になると明治政府ができて、中央集権国家でもって近代化を目指していくというように、割とイメージがはっきりします。
その点、中世というのは、どのような時代かといわれると、一言では説明するのが難しい。天皇もいれば、将軍もいて、大名たちもいて、民衆が一揆を起こすなど、非常に複雑で混沌としています。そこが面白いし、現代にも少し通じるところがあるのではないかということで、興味を持ったというのがきっかけです。