「一揆」と「SNS」歴史作家が語る驚きの"共通原理" 意図的に自分の名前を広めようとした首謀者も
しかし足軽というのは、権力の手先として悪さをしているということで、マイナスイメージです。
だから土一揆と足軽は、別個に扱われてきた部分があります。だんだん研究が進み、土一揆に参加している人たちと足軽になっている人たちは、実は根っこでつながっているのではないかと、最近では考えられています。
マフィアと警察が「裏取引」をするようなもの
そのつながりを象徴する形で、土一揆の大将である蓮田兵衛と、応仁の乱で足軽大将として活躍する骨皮道賢が知り合いだったとする設定は、すごくうまいと思いました。
垣根 『室町無頼』では、蓮田兵衛が土一揆を起こす前に取り締まる側の骨皮道賢に裏取引を持ちかけます。
アメリカで言う、マフィアと警察が裏取引をするようなものです。蓮田兵衛は一揆をスムーズに進めるため、取り締まりの現場を任されていた骨皮道賢にお目こぼしを依頼し、その見返りとして道賢の面子を潰さず、花を持たせようとしていた、という感じでしょうか。
呉座 現代と同じですね。
垣根 そうすることで、骨皮道賢も幕府や侍所に対して点数を稼ぐこともできる。犯罪を取り締まりながら、実は犯罪者とも通じているという意味では、江戸時代の目明かしのようなものです。
呉座 個々のエピソードは創作だとしても、ストーリーの根っこにある社会観のようなもの、当時の室町社会はこのような感じだったという時代感覚は、今の歴史学の研究と合致します。時代の本質を突いているのではないかと思います。
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