さらにややこしいのが、注意してくれた上司とその夜居酒屋に行き、ひと通りお酒が回るとその上司の口から「俺は、本当は鈴木のやり方は気に食わない!」と社長に対する呼び捨てが飛び出します。しかしこれは「酒の席の陰口」ということで無罪とされているそうですね。
なるほど、相手の悪口を言う時は呼び捨てなのか、そこはアメリカと同じだな、と納得しかけたところに、仲のいい同期がこう呼びかけてきます。
「おいベネット、お前社長に失礼なことしたんだって? 困ったことがあったら俺が相談に乗るぞ」
どうやら話の内容と相手の表情からみるに、面と向かって今私は悪口を言われているわけではないようです。でも呼び捨てにされました。
――と、外国人からみると日本語の敬称のある・なしルールは複雑怪奇なものです。
スポーツ選手や芸能人はなぜ呼び捨てにするのか?
最後に、アメリカ人だってちゃんと相手を苗字で呼ぶ時には敬称をつけるんだよ、という例を示したいと思います。
メジャーリーガーで今や国民的人気者の大谷翔平選手ですが、日本では彼のことを誰もが「大谷」と呼び捨てにしていることには軽い衝撃を受けます。日本ではスポーツ選手や芸能人を呼び捨てで呼ぶことには抵抗がないようです。そうなると人気スポーツ選手自身が社長を務める会社があったとして、そこの社員は社長がいない時どう呼んでいるのか気になりますね。
しかし良識あるアメリカ人はそんな呼び方はしません。野球中継のアナウンサーが大谷選手をなぜあの呼び方をするのか、この原稿を読んで少し理解していただけたのではないでしょうか。もうおわかりですね。「オータニサーン」です。
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