芸能人なぜ呼び捨て?「日本語呼び方ルール」の謎 日鉄会長の「バイデン呼び」は実際に失礼なのか

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さらにややこしいのが、注意してくれた上司とその夜居酒屋に行き、ひと通りお酒が回るとその上司の口から「俺は、本当は鈴木のやり方は気に食わない!」と社長に対する呼び捨てが飛び出します。しかしこれは「酒の席の陰口」ということで無罪とされているそうですね。

なるほど、相手の悪口を言う時は呼び捨てなのか、そこはアメリカと同じだな、と納得しかけたところに、仲のいい同期がこう呼びかけてきます。

「おいベネット、お前社長に失礼なことしたんだって? 困ったことがあったら俺が相談に乗るぞ」

どうやら話の内容と相手の表情からみるに、面と向かって今私は悪口を言われているわけではないようです。でも呼び捨てにされました。

――と、外国人からみると日本語の敬称のある・なしルールは複雑怪奇なものです。

スポーツ選手や芸能人はなぜ呼び捨てにするのか?

最後に、アメリカ人だってちゃんと相手を苗字で呼ぶ時には敬称をつけるんだよ、という例を示したいと思います。

メジャーリーガーで今や国民的人気者の大谷翔平選手ですが、日本では彼のことを誰もが「大谷」と呼び捨てにしていることには軽い衝撃を受けます。日本ではスポーツ選手や芸能人を呼び捨てで呼ぶことには抵抗がないようです。そうなると人気スポーツ選手自身が社長を務める会社があったとして、そこの社員は社長がいない時どう呼んでいるのか気になりますね。

しかし良識あるアメリカ人はそんな呼び方はしません。野球中継のアナウンサーが大谷選手をなぜあの呼び方をするのか、この原稿を読んで少し理解していただけたのではないでしょうか。もうおわかりですね。「オータニサーン」です。

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デビット・ベネット テンストレント最高顧客責任者

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David Bennett

1979年にジャマイカで生まれ、カナダ国籍を持つ。カナダトロント大学大学院卒。早稲田大学にて日本語を習得、学習院女子大学大学院にて日本古典文学を学ぶ。東京でコンサルタントとして社会人キャリアをスタート。AMD社コーポレートバイスプレジデント、および同社のレノボアカウントチームのゼネラルマネージャーを務め、コンシューマー、コマーシャル、グラフィックス、エンタープライズプラットフォームなど広範な事業を手掛ける。2018年5月レノボ・ジャパン社長に就任、2022年6月から現職。古典文学が好き。

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