再開発の東京で増える「金太郎飴ビル」への"反動" 高層ビルが乱立するなか余白を意識した施設も
さまざまに再開発されるビルが増えていく中で、「ただ建てる」のではなく、それぞれの個性や違いを求められるようになってきている。それらがどのように個性を出していくのかも、2025年の新規案件の見どころだ。
「テナントが何もない」ソニーパークのすごさとは
さて、次に注目したいのが「②都市の余白としての「公園」の増加」。
開発案件の増加に伴って高層ビルが増えている一方で、都市の中の「余白」を作っていこうという動きも出てきている。特にそのとき、「公園」の整備が行われることも多い。
例えば、1月に誕生する「銀座ソニーパーク」。パーク(公園)という名前の通り、ここには、全館にわたって常設のテナントは入らない。そこで行われるイベントや広告費によって施設の運営をまかなうという。
同地は、日本でも指折りの公示地価が高い場所として知られる。そこで、テナントを入れないというのはかなりの決断である。
この背景には、ソニー創業者である盛田昭夫氏の思想がある。
ソニーパークが誕生する場所には、かつて「ソニービル」というソニーの展示場が建っていた。盛田氏は、そのビルを「街に開かれた施設」というコンセプトにして、中にあった10坪のスペースを、街に来る全員が楽しめる「銀座の庭」と呼んでいた。
ソニーパークでもこの「開かれた施設」という思想が継承され、テナントをまったく入れない「余白」的な場所にするわけだ。
筆者がこの計画を見て思い出したのは、昨年、原宿に誕生した「ハラカド」だ。
この施設の4階はほとんどテナントが入っていない空間で、植栽とベンチが広がっている。完成当初から大きなインパクトを与えていたが、ソニーパークの考え方もこれに近いだろう。
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