米国オーディオメーカーが狙う日本市場の"鉱脈" 配信時代、ストリーミング対応で市場拡大
さらに2024年に初参入した「Sonos Ace」ヘッドフォンでは、サウンドバーからヘッドフォンへワンタップで音声切替が可能な「ホームシアター・スワップ」機能を提案し、集合住宅での深夜鑑賞など日本的な住環境で、周囲への騒音を緩和するなどの提案をした。
”体験の質”こそがSonosの強み
もっともネットワークに対応するスピーカーが当たり前といった時代になってきたこともあり、Sonosが提供してきた機能、そのものは必ずしも優位性とはならなくなってきている。
BluetoothはもちろんWi-Fiまで統合したアンプ内蔵のスピーカーは、あらゆるメーカーから登場するようになり、かつてないほど選択肢が増えている。ハイエンドからミドルレンジまで無数のブランドが存在し、音楽配信によるコンテンツ無限供給と相まってユーザー体験は複雑化し、それを楽しむ方法論も多様性が生まれている。
音質や価格差、機能比較だけでは、どの製品を選ぶべきかの決定打にならない状況だ。
こうした中でのSonosの強みをラローサ氏は「”音を通じた体験価値”にある」と表現する。
「Sonosは”家中どこでも音楽を楽しめる”よう、機能やラインナップの拡充を進め、体験の質を高めてきた。そのノウハウこそが依然として強みです。スマートスピーカー、ホームシアター、ポータブルスピーカー、ヘッドフォンといった多様な製品群を、一貫したユーザー体験を提供する専用アプリが支えています。アナログオーディオを接続できるPortといった製品も含め、旧来のオーディオ文化との橋渡しにも配慮が行き届いています」
「ニーズを的確につかみ、その上でグローバルで築いたブランド価値と掛け合わせる」ことこそがSonosの戦略的アドバンテージだとラローサ氏は強調する。
さらにラローサ氏は音楽配信環境の変化が、日本における事業者向け音楽配信ビジネスも変えられると確信しているようだ。
Sonosは米国などで店舗などの商業空間向けの製品やサービスも展開していたが、これらの日本市場への投入も計画しているという。一昔であればUSENなどが独自に開拓したネットワークで展開していたが、言うまでもなく、それらは既にインターネットサービスへと置き換えられている。現在はコンテンツの豊富さやチャンネル選択だけで、適切な音楽が流れてくることが付加価値になっている。一方で、回線を直接引き込む必要がなくなったことで参入障壁が下がったと言えるだろう。
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