米国オーディオメーカーが狙う日本市場の"鉱脈" 配信時代、ストリーミング対応で市場拡大
そんな彼女は、グローバル戦略におけるSonosの戦略を見据えながら、日本市場を分析することで事業戦略全体の見直しにもつながると考えている。
「日本の消費者はとても繊細で、品質に対する鋭い感覚を備えています。音質へのこだわりはもとより、コンパクトさや細かなデザインディテールへの要求が厳しく、さらに現物を手に取った際の質感や操作感、それに音質を確かめて納得しなければ選んでもらえません(ラローサ氏)」
ライバルが増える中での日本参入
前述したように、Sonosがグローバルのオーディオブランドとして成長した背景には、ネットワークを中心とした新しいオーディオ製品の形をいち早く取り入れ、まだ産業の構造が変化する前から取り組んでいたことで得た先行者利益という側面も大きい。
言い換えるならば、そうした音楽産業のパラダイムシフトが発生した後の2018年に参入した日本市場では、既にライバルが存在している中での事業の立ち上げとなった。さらにSonosの成功を見てキャッチアップしてくる企業もあり、ライバルが増える中で、日本でのブランド確立に取り組んでいる。
ラローサ氏は市場ごとの特徴に合わせた価値提供のシナリオを描くことが重要だと話す。
例えば、日本ではヨドバシカメラ、コストコなどの大型店舗で製品体験を容易に行えるタッチポイントを設けながら、Amazonなど消費者が容易にアクセスできる流通チャネルでの購入チャンネルを広げている。
新しいテクノロジー製品の導入では、通信販売に偏ったマーケティングを行うことも多いが、日本では特に店頭での体験を重視しているという。
また新製品導入においても、日本人のライフスタイルに沿ったシナリオも提案している。
2025年早々に投入予定の「Sonos Arc Ultra」は、薄型テレビに似合うサウンドバーであるが、一方で音楽再生の能力に優れた音楽ストリーミングのためのサウンドバーという特質もある。
ホームシアター向け製品は映像作品のサラウンドサウンドを再生することを重視しているものが多い。もちろんSonos製品もその文脈には沿っているが、高度なオーディオ品質を求める層のニーズに応えることに力点を置いている点は他のメーカーとの明確な違いだ。
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