ダイソン「オーディオ参入」にストーリーはあるか 競争が激化する中で新規参入を決めた意図とは
昨年のこと、ダイソンが空気清浄機を搭載したヘッドフォン「Dyson Zone」を発売したことを覚えている方はいるだろうか。筆者はマームズベリーにあるダイソンの開発拠点を訪れ、その姿を取材したことがあった。
基本的には空気清浄機だったDyson Zone
Dyson Zoneはやや控えめに表現したとしても、商業的には明らかな失敗であった。そもそもこの製品はヘッドフォンではない。基本的には空気清浄機だったのだ。
当時、ダイソンの英国拠点で説明されたのは、地球の環境が多くの人が考えているよりもずっと悪化しており、健康への影響を騒音、空気汚染の両面で受ける地域を通って、通勤や通学をしなければならない中で、パーソナルに安全な領域を確保するための道具として開発されたというものだった。
開発が進む中で、騒音を押さえ込むためのノイズキャンセリング機能は、高音質ヘッドフォンとのハイブリッド商品企画へと発展していった。
当時の記事は、本誌にも掲載されているため、興味がある方はリンク先を読んでいただけると幸いだ。その企画が賛同できるかどうか、商業的に成功したかどうかはともかく、そこには極めてダイソン的なさまざまな課題に対して、科学的アプローチで解決策を模索するストーリーが存在した。
では、初のオーディオ専用ヘッドホンとして日本では9月19日に発売された「Dyson OnTrac」にはどんなストーリーがあるのだろうか。
7万円を超えるワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホンには、世界に名だたる高品質なオーディオメーカーが数多く参入している。ソニー、ゼンハイザー、ボーズ、AKGなどのビッグネームに加え、Master & Dynamicなどの新興ブランド、ソノスのようなワイヤレススピーカーで名を馳せるメーカーもある。
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