米国オーディオメーカーが狙う日本市場の"鉱脈" 配信時代、ストリーミング対応で市場拡大

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「ホテルや飲食店、医療施設など、音によって空間の質を高められる領域は幅広くあります。我々は”Sonos Era 100 Pro”などのプロ向けソリューションを持っていますが、これらを店舗向けのスピーカー管理サービスと共に、2025年春には日本市場に導入します。音楽体験そのものをブランド価値として、商業施設にも展開することでSonosブランドの価値を高めていきます(ラローサ氏)」

こうした商業領域での展開は、単なる機器販売からの脱却を指すオーディオ業界のトレンドとも一致している。

開発と戦略展開の速度に課題も

ラローサ氏の言葉からは、グローバルブランドとして蓄積したテクノロジーとコンセプトを日本特有の市場要求と組み合わせることで、新たな音響体験を定着させようとする意図が感じられる。

ラローサ氏の役割は、ビジョンをセールスやマーケティング、チャネル戦略へ落とし込み、顧客との接点を生み出すことにある。現場重視でフットワーク軽く動き、オーディオ文化や流通特性を理解した上で実行する彼女の手腕は、日本での展開に役立つかもしれない。

Sonosが日本で本格的なブランド認知を確立していく過程は、オーディオ業界全体が直面する課題と重なり合う。コンテンツ過多の中で、どのように豊かな体験価値を生むのか。技術革新と文化的背景をいかに調和させるのか。

一方で音楽ストリーミング配信と共に成長してきたSonosだが、音楽産業の変革期が終わり安定してきた昨今、競争はより一層激しくなっている。

音楽ストリーミング配信時代の体験を重視するコンセプトは、他のライバルも積極的に採用し、戦略の中心においている。そうした中で木場の小さなSonosが開発と戦略展開の速度に課題を持っている事は確かだろう。

今後、Appleもこのジャンルにおいて大きな進歩を果たす可能性があり、欧州の伝統的なオーディオブランドも追従してくると考えられる。それだけに、ローカルな視点とグローバルな戦略を織り交ぜたSonosのアプローチが、日本市場の開拓でどれほどの成果を挙げるのか。”オーディオ体験のあり方”を再考する一つの手がかりとなるはずだ。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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