インド人採用の極意とは?--行列のできる在インド中小企業経営者・中島敬二氏に聞く
--「品質管理」と「インド人の教育」にこだわっているとのことですが、人事労務についてお聞かせください。まず、従業員数は何人ですか?
工員は現在20人くらいです。どうすれば、良い従業員を集めて、定着できるのか。私なりに、人事労務はいろいろと考え抜きました。出した答えは、地場の人間を採用しない事に決めたんです。
--「地元以外」とは普通と逆ですね。
まず、当社の工場のあるマネサールは、大手企業が多数工場を持っている場所だということを念頭に置く必要があります。採用を地元にこだわれば、当社のような小さな会社に来る人間は、「能力がなく使いものにならない人」「能力があっても他の会社で問題を起こしたり、簡単に転職する人」この2つに違いないと思いました。仮に90%くらいの人がそうだとすると、残りの10%に勝負をかけなければいけない。だから地元からは採用しないことを決めました。結果的にスタッフはパンジャブ州やネパール、アッサム州など全員が地方出身者です。
--大手企業だと地元政府のプレッシャーもあると思いますが、中小企業ならではの採用法かもしれません。ほかに条件は?
もうひとつの条件は「未経験者」。今までまったく会社に勤務した事のない人です。
--業種未経験ではなく、「就業自体が未経験」ということですか?
そうです。インドの企業に勤めたことのない人です。しかも学歴やカーストも問いません。逆に、貧しい生まれで家族思いの人がいい。素直で正直な人。一生懸命やる人。そして目が良くて、手先の器用な人です。結果的にはこれらの条件を満たす人は、18~20歳くらいの若い人になります。高校を出て間もない人が地方で職がなくて来るわけです。