読む前から気が重い「文章による企画書」の弱点 しつこく説得されることへの「拒否反応」もある
アイデアというのは、異質のものが「融合」したときに出ることが多いもの。マルが重なり合った部分について「ここは何を意味しているのだろう」と考えていくと、新たな発想が生まれてくることがあります。異質なものが交わった部分を考えていくと、いろいろなアイデアが浮かんでくるはずです。
「融合」とともにもう1つの大事な概念は「包含」です。私が航空会社にいたとき、社内では「安全とサービス」を標語として掲げていました。しかし、これは、本来、別々の概念をつなぎ合わせただけの標語でした。
整備と運航などのオペレーションラインの提供する「安全」と、空港、営業、客室などのカスタマーラインが提供する「サービス」を、「と」という言葉でつないでいたのです。これら2つを「安心」というキーワードで包含し、全部門の力を結集しようという意味で「大いなる」をつけて「大いなる安心」というサービス理念を作り出したことがあります。
仙台で企画した「新・杜の都構想」
私が奉職した宮城大学は1992年に開学のためのプロジェクトチームが結成されました。以降、原野を切り拓き、「美しい公園のなかにきれいな湖があり、そのほとりに巨大な円形のリゾートホテルが建っている」というイメージで建築が進められ、それを実現しています。そして、事業構想学部という全国初の名称の学部と、看護学部との2つの学部での出発となり、1997年4月に開学しました。
図解という武器を使って地域活性化に挑んだ例として、2003年3月卒業の私のゼミ生が取り組んだ、2001年の仙台市長選に関わる取り組みの図解を紹介したいと思います。
![](https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/f/a/570/img_fa7fc6ba849ab51f486a0598bddaaf33214680.jpg)
※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください
学生たちは図解を使ったディスカッションを重ね、数か月間かけて「新・杜の都構想」という提言書を完成させ、選挙戦のさなか市長選の各候補者に提示しました。仙台開府400年、そして21世紀の幕開けの年に行われる市長選にあたって、次の400年を見通したまちづくりの議論があまりにも少ないという問題意識からの出発でした。
報告書では「学都・仙台」「商都・仙台」「楽都・仙台」という3つのキーワードに基づき、具体的な提言を行いました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら