読む前から気が重い「文章による企画書」の弱点 しつこく説得されることへの「拒否反応」もある

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文章は、最後まで読まないと全体像がなかなか理解できない上に、少しでも横道にそれていたりすると、また前後の文脈を追いかけることになり、効率が悪くなりがちです。企画書は相手の賛同を得るために作っているのですから、しつこく説得されると、拒否反応も起こしたくなるものです。

「図解企画書」はポイントがひと目でわかる

これに対し、図解企画書はこの例でもわかるように、全体像がひと目で理解できると同時に、企画書のポイントを把握することが容易なため、賛同を得やすいことが長所です。また、文章が前後の文脈を追いかけるのに対し、上下左右を十分に使った2次元空間を利用しますから、それだけパワーが大きくなります。

(出所:『仕事ができる人になる 図解の技術 大全』より)


 実際に企画書を使ってプレゼンテーションを行う場合を想定してみましょう。

仕事ができる人になる 図解の技術 大全
『仕事ができる人になる 図解の技術 大全』(日本実業出版社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

図解企画書は、企画全体の姿を参加者の目の前に置きながらの論議や評価となりますから、字句の定義や細かいどうでもよい表現などに焦点が当たらず、企画の本質に関する論議が行われやすくなります。話がわき道にそれた場合でも、目の前に図解がありますから直ちに本筋に復帰できる強みがあります。

また、プレゼンテーターの立場からいうと、図解による説明を事前に演習することにより、企画に足りない点、批判されるかもしれない点をチェックできるなど、さまざまなメリットがあります。

ただし、勢いにのっていつでも図解ですべてを表そうとすると、意外な落とし穴があります。企画書は相手のために書くものですから、相手の好み、レベルをよく観察して、そこに合わせなければなりません。

文章を読み書きする文化が中心のところで、いきなり図解のみを使った企画書を出すと拒絶反応が出ることになります。この点は、非常に重要です。相手に合わせながら、ポイントを図解で説明していくのがよいと思います。この例でいうと、「現状」や「ヒント」に相当する部分は文章で書き、「新商品の概要」を図解で説明する、という方法がよいでしょう。

久恒 啓一 多摩大学名誉教授、宮城大学名誉教授、NPO法人知的生産の技術研究会理事長

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ひさつね けいいち / Keiichi Hisatsune

多摩大学名誉教授。宮城大学名誉教授。NPO法人知的生産の技
術研究会理事長。

1950年大分県中津市生まれ。九州大学法学部卒。1973年日本航空
入社。英国勤務や客室の労務担当を経て、広報課長、経営企画担
当次長を歴任。1997年早期退職し、新設の県立宮城大学教授(事
業構想学部)に就任。学生部長、大学院研究科長。2008年多摩大学
教授。経営情報学部長を経て副学長。

ビジネスマン時代の1990年に『図解の技術』(日本実業出版社)
を刊行。2002年の『図で考える人は仕事ができる』(日本経済新
聞社)、『50歳からの人生戦略は「図」で考える』(プレジデント
社)など著作は100冊を超える。2020年より『図解コミュニケー
ション全集』全10巻を刊行。近年は、1000館を超える「人物記念
館の旅」をベースにした『遅咲き偉人伝』(PHP研究所)など「人
物論」にも力を入れている。

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