サントリー次期社長の「プリンス」に託された課題 鳥井氏を「ノブ」と呼ぶ新浪氏と二人三脚で挑む

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結果、海外事業は飛躍的に成長した。サントリーHDの売上収益に占める海外比率は、新浪氏就任前の2013年12月期が約25%。ビーム社の買収効果が上乗せされた2014年12月期は約36%だった。それに対し、会計基準の違いはあるが、直近の2023年12月期には約50%にまで上昇した。

新浪氏は大型買収と統合を乗り越えて、強い組織を作ったと自負する。一方で、社長としてやり残したことは海外事業に多いという。

サントリーが目指すRTD(Ready to Drinkの略語。缶チューハイやハイボール缶など、開けてすぐに飲める飲料)での「売り上げ世界1」や、人口増が続くインドでの十分な事業拡大などは、社長在任中に達成しきれなかった。今後は会長の立場で海外事業のさらなる拡大を牽引していく。

サントリーの地域別売上収益

「日本で絶対に1番になる」

新浪氏が新社長の鳥井氏に託す課題は、国内酒類事業の成長だ。

サントリーはウイスキーなどの蒸留酒で国内シェア首位、世界でも5位の強さを見せる。しかし酒類全体では国内3位(販売数量ベース、イギリスの調査会社ユーロモニター調べ)にとどまる。

一方、世界で確固たる地位を築いている酒類メーカーはどれもが自国で圧倒的な強さを誇る。サントリーはイメージ通りのグローバル企業になりきれていないのが現状だ。

「サントリーが目指すのは真のグローバルカンパニー。総合食品・酒類メーカーとして、日本で圧倒的に、絶対に1番になる」。新浪氏の国内にかける想いは強い。

鳥井氏の新社長としての試金石となるのはビール事業だ。国内はビールの消費者が多い。日本1の酒類メーカーを目指すなら、この事業の成長は欠かせない。

サントリーとして格別の思い入れもある。「60年以上前に国内大手で最後発のメーカーとしてビールに挑み、苦しい中でがんばってきた。ビール事業はサントリーの魂だ」(鳥井氏)。

国内ビール事業が初めて黒字になったのは、参入から約45年経った2008年。プレモルのヒットが貢献した。

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