サントリー次期社長の「プリンス」に託された課題 鳥井氏を「ノブ」と呼ぶ新浪氏と二人三脚で挑む

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

1966年生まれの鳥井氏は、創業者のひ孫で父は3代目社長。1991年に日本興業銀行(現みずほ銀行)へ入行し、社会人のキャリアをスタートさせた。社会人としての基礎は興銀時代に叩き込まれたという。

サントリーに入社したのは1997年で、最初の10年は酒類の営業を担当した。現場で顧客の信頼を得ながら、泥臭く1ケースずつ売り上げを積み上げていくことを学んだ。その後、営業統括本部部長やM&Aを担う戦略開発本部長など多様なポジションを経験した。

鳥井氏の印象に強く残っているのは、プレミアム(高価格帯の)ビール「ザ・プレミアム・モルツ」(プレモル)の戦略部長時代だ。2007年に販売数量1000万ケースを達成すべく奔走したが、結果は951万ケースに終わり、かなり苦い経験となった。

国内外で飲料事業を展開するサントリー食品インターナショナルが2011年に発足した際、同社の初代社長に就任。2013年にグループで初めて上場し、上場企業とはなんたるかを知る新浪氏には相談しやすかったという。

逆に新浪氏が物議を醸す発言で世間を騒がせたときには、鳥井氏が苦言を呈しながらも励ますような関係性を築いてきた。

サントリー社長交代会見
新浪氏と信宏氏は2週間に1度、言いたいことを言い合う時間を設け「二人三脚」の体制を整えている(撮影:梅谷秀司)

新浪時代は海外事業拡大の10年

鳥井氏を育て上げた新浪氏が、コンビニ大手・ローソンの会長を経てサントリーHDの社長に就任したのは、2014年10月。創業家以外の人物が社長になるのは初めてのことだった。招聘したのは前HD社長、現会長の佐治氏で、新浪氏へ海外の一大プロジェクトを託した。

同年5月、サントリーはアメリカの蒸留酒大手ビーム(現サントリーグローバルスピリッツ)社を1.6兆円で買収。ウイスキー「ジムビーム」や「メーカーズマーク」などの強力なブランドを獲得した。買収の5カ月後に社長となった新浪氏は統合作業に全力をあげて取り組んだ。

就任当時は現地社員と角突き合わせることもあったが、外部で培った持ち前のスピード感で、国内外の人材交流を活発にするなど社内改革を進めた。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事