「高くなったディズニー」に抱く"寂しさ"の正体 テーマパーク化していく狂った街の生き抜き方

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

東京の中でさえそうなのだから、地方・都会でいえばその差はさらに顕著になっているだろう。「一億総中流」は幻の言葉となって久しいのである。

そんな中、ディズニーはよりそこで多く消費をしてくれる人に向けた戦略を打っていく。いわば、ディズニーの変化は「格差社会」がそのまま可視化されたようなものなのである。

40年の間で「テーマパークらしさ」を純化させた

そもそもテーマパークとは、その初めから、閉鎖性の強い場所であった。ディズニーランドは創設者であるウォルト・ディズニーの思想を強く反映させた「ユートピア」として作られた側面が強く、その「理想郷」を実現するためにパークの中からはその外側が見えないようになっている。まさに「排他的」な空間なのである(ちなみに、「高級な」を表す「exclusive」は「排他的な」という意味も持つ)。

その意味で東京ディズニーリゾートは、この40年の間で、より「テーマパークらしさ」を純化させていったともいえる。

「みんなの場所」から「選ばれた人の場所」へ。そしてその背後には「格差の拡大」がある。こうしたつらさも漂わせる空気を感じるから、どこかディズニーランドの変容には寂しさを覚えてしまうのではないだろうか。
社会の変化が、ディズニーランドという空間に可視化されて表れている。

このような「格差」がより露骨に可視化されている場所がある。スキー場で有名な、北海道の「ニセコ」だ。

ニセコの風景
たくさんのインバウンド客が来ることですっかり有名になった街・ニセコ。写真のような、外国人向けのホテルがたくさんある(筆者撮影)

ここ数年、ニセコで売られているものの値段が常軌を逸している……というのは、よくニュースになるところだ。最近も、ニセコエリアのスキー場1日リフト券が1万円を超したことが報道され、「地元民が行けない」「もはや外国人の街だ」という感想がSNSを賑わせた。

実際に私も現地を訪れたことがあるが、そこにはほとんどインバウンド観光客しかおらず、北海道のローカルコンビニ「セイコーマート」では1万4000円以上するシャンパンが売られていた。つまり、ここは「裕福な外国人観光客のための街」になっている。

陳列された高いシャンパン
ニセコ・ひらふのセイコーマート。高いシャンパンがゴロゴロ(筆者撮影)
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事