一方、大学側は「受験者数」にしか興味がないのだろう。実際、東洋大学は各地に受験会場を用意し、2万人の受験生を集めたようだ。文科省は「学校推薦型」においては調査書の記載内容を重視して審査するよう求めているが、果たして2万人分の調査書をしっかり読めたのだろうか。その評価基準をどのように定めていたのだろうか。
これでは高校側から「一般選抜の前倒し」「青田買い」「滑り止め受験生の入学金目当て」と批判されても仕方がないだろう。文科省の「ルール違反」との指摘は全うである。
2021年度以前において「公募推薦」は「自己推薦」が可能なものもあり、特に学校長の推薦を求めない選抜試験が成立していた。だが2021年度に大学入試改革の一環で、選抜方法が整理されたのだから、2021年度以降の選抜試験は新しいルールにのっとって試験を実施しなければならない。
実際には関西の私立大学などでも同様の試験が行われているという現実もある。東洋大学が文科省の指摘に不満があるのであれば、堂々と議論を起こしてルールを変えるようにすべきである。
いまの高校生の中には「ルールメイキング」を学んでいる人たちもいる。「ルールは破るものではもちろんない。不満があるのであれば対話しながらルールを変えるべきだ」というものだ。
こうした状況下で、教育機関としての大学の見識が問われるところである。
「学ぶ意欲」をどう測るか
さて、総合型選抜に話を戻すが、この「学ぶ意欲」を果たしてどのように測るのか。課題は大きい。
さらに言えば高校で「探究学習」が思うように進んでいない状況で、果たしてうまく審査できるものだろうか。中にはコンテスト入賞目当てに探究学習をともなわない「探究活動」に邁進する高校もある。これでは誰かが敷いたレールを、ひたすら走るような活動なのではないか。
実際、総合型選抜で大学はなにを審査しているのだろうか。このあたりが伝わっていないから、SNSなどで個人の「合格体験談」が都市伝説のように定着して「これが合格の決め手」と騒がれるようになっている。
次回はこうしたことを踏まえて、総合型選抜への対応はいかにあるべきかを具体的に説いていきたい。
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