さらに総合型選抜では、受験生が大学で学びたいことや興味のあることを基盤とした「学ぶ意欲」を評価するため、「探究活動」と相性がいい。
大学で学びたいことを「探究」によって深く学ぼうとする受験生が「総合型選抜」の実施の趣旨からすれば評価されるのは当然であろう。
中には「課題解決」についてプレゼンテーションさせる大学もあり、審査の内容は大学によってさまざまであるが、その内容の充実度はいかがだろうか。「学ぶ意欲」を評価できているだろうか。
「年内入試」がもたらした波紋
前回、大学入試の選抜方式は「学力の三要素」のバランスだと書いた。2021年度に、選抜試験の実施方法は改めて整理されており、一般選抜では「基礎学力」を重視、総合型選抜では「学ぶ意欲」の重視、そして学校推薦型は学校長の推薦によって「基礎学力」「学ぶ意欲」を担保する、としている。
そのような中、いま東洋大学が12月1日に実施した「学校推薦入試 基礎学力テスト型」が話題になっている。学校推薦型(公募推薦)の選抜であるが、学校長が推薦した事由を求めず、学校長と受験生の名前を書くだけでよいものだった。
名前を書くだけでは推薦書の要件を満たしていないのではないか。学校長の推薦の重みをどう捉えるか。新聞報道によると、こうした選抜試験に文部科学省が「ルール違反」と指摘したようだ。
学校長の推薦事由を求めないのだから、合否判定は「基礎学力試験」に委ねられる。東洋大学の場合、面接や小論文を課さず、合否は「英語・数学」か「英語・国語」のいずれか(英語は民間試験の成績も利用可能)の試験結果で決まる。
合否の判定を基礎学力試験に委ねるとなると「一般選抜」と変わらない。一般選抜であれば、共通テスト以降に実施しなければ、高校の履修との関係で不適切だ。
そもそも一般選抜の実施は「2月1日以降」と「大学入学者選抜実施要項」に定められている。そうした側面から文科省は「ルール違反」としたのではないかと推測する。
こうした選抜試験に、高校からは学校長の推薦を毀損(きそん)する行為だとの反発もある。高校では推薦の要件を校内で審査・選考して学校長が推薦する。高校においてはそれなりに重みがあるからだ。
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