「機械に介護されたい」89歳のIT強者が描く"老後" シニアは「0から1を創る」ことを生きがいにしよう

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「でもね、役所が高齢者にスマホを使ってもらうために考えるのは、いつも“スマホの使い方講座”なんです。この発想が少々ズレています。大事なのはスマホとはそもそもどういうもので、どんな風に使えば暮らしが楽しく、便利になるかを知ってもらうことだと思います。使う用事がないから、使い方もすぐ忘れてしまうんです。

出かけるときは財布よりスマホが必需品の若者と違って、高齢者は別にスマホがなくても困りません。スマホ教室に参加したおばあちゃんが、『今日、スマホの使いかたを習ったよ』って自宅の固定電話から娘に報告して、おしまい(笑)」

講師がマニュアルに沿って「ホームボタンを押してみましょう」と言って、全員が一斉にボタンを押す­­――。そういう画一的な教え方ではなく、散歩が好きな人には地図アプリの使い方を、離れて住む孫とおしゃべりしたい人にはビデオ電話の使い方を。

若宮さんが提案するのは、楽しいことからスマホになじんでもらう講座である。親にスマホの使い方を教えるといつもケンカになるという皆さんも、ぜひ頭に入れておきたい。

アップルウォッチ
iPhone
毎日欠かさずというわけではないが、アップルウォッチを活用して心電図をとり、iPhoneと共有しているという(写真:『88歳、しあわせデジタル生活』中央公論新社刊より)

介護はなるべく機械に頼ったほうがいい

「私は介護が必要になったら、ロボットにお世話されたい」

若宮さんは電子国家デンマークを訪れて、AIやロボット技術を導入した介護現場を見学するたびに、そう思うようになったという。

介護に対する発想からして、日本とはまったく違う。

「お義父様もお義母様も介護して、今度はご主人の介護をしているんですね。あなたは偉いわね」。これは日本。デンマークは要介護者を抱きかかえて移動させようものなら、「そんなことしたらダメ! 腰をやられて、あなたがじきに要介護になっちゃうわよ」である。

「デンマークでは介護はなるべく機械に頼りなさいという考え方が徹底していて、要介護者が自立して暮らせるために優れた介護ロボットや機械が開発されています。立位の姿勢をサポートする機能を加えた車いすは、1人暮らしの人でも立ち上がって棚からモノを取ることも可能にします。住宅もユニバーサルデザインを取り入れた造りになっているので、老いても子に従わずに自立して生活できるようになっています」

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