これから人は100年生きるという。しかし、お金や孤独、健康不安がなく老後を迎えられる人はどれくらいいるだろう。年を取ることが怖いーー。
多くの人が漠然とした不安を抱く中、老後の人生こそ謳歌している人もいる。その元気は、気力は、生きがいは、いったいどのようにして手に入れたのか。本連載では、“後期高齢者”になってなお輝いている先達に、老後をサバイブするヒントを聞く。
今回お話を伺ったのは、81歳から始めたプログラミングでヒットアプリを生み出した、若宮正子さん(89歳)。今夏、『やりたいことの見つけ方 89歳、気ままに独学』(中央公論新社)も上梓した。「何を始めるのにも、遅いなんてことはない」を体現する若宮さんの原動力とは何だろうか。
年寄りのことは年寄りしかわからない
「僕らは、お年寄りがどんなことを面白いと思うのかわからない」
今から8年前、若いエンジニアに「高齢者向けのアプリを作ってほしい」とお願いしたとき、返ってきた答えに若宮正子さん(89歳)は、カチンとくるより妙に納得してしまった。
そうか、年寄りのことは年寄りにしかわからないものなんだ――。
そして「プログラミングを教えてあげるから、若宮さんが自分で作ればいいんじゃない」とおだてられて、独学で高齢者向けにiPhone用のゲームアプリ「hinadan(ヒナダン)」を開発してしまった。
すると、それがApple社の目にとまり、若宮さんは「世界開発者会議(Worldwide Developers Conference 2017)」に特別招待され、またたく間に“世界最高齢の女性開発者”としてその名が世界各国に知れ渡る。
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