現在、若宮さんは政府の「人生100年時代構想会議」や「デジタル社会構想会議」などの委員を務め、ITエバンジェリスト(伝道者)、デジタルクリエーターとして、シニア世代とデジタル化社会をつなぐために多方面で活躍している。
そんな若宮さんを突き動かすのは、8年前に悟った「年寄りのことは年寄りしかわからない」という思いだ。
「政府が若い人たちのテクノロジーをそのまま年寄りに押し付けちゃうのは、非常に迷惑なんですよ。年寄りはなぜお役所がITだ、デジタルだ、とワーワー言っているのかわからないし、そもそも政府は年寄りが困っていることをわかっていない。だから、私が間に立ってなんとかしなきゃいけないと思いまして。勝手にITエバンジェリストなんて肩書を作って使命感に燃えて、1人で喜んでいる、みたいな現在です」
お茶目に笑う若宮さんだが、年間140回以上の講演をこなしながら、さまざまな会議に出席し、合間に本の執筆もする。Googleカレンダーには時間単位で予定がびっしりだ。
そんな多忙な日々にもかかわらず、プライベートでもやりたいことがありすぎて、時間が足りないという。
「私はすごく自分本位主義なので、人様にご迷惑をかけることは避けますけれど、自分が楽しいこと、やりたいと思ったことは、あまり他人のことは考えないですぐに実行に移してしまうんです」
“やりたいこと”を見つける「3つの方法」
老後を迎えて、やりたいことが見つからない、趣味がないと嘆くシニア世代にしたら、なんともうらやましい日々である。若宮流・やりたいことの見つけかたはいたってシンプル。「自分の気分が上がることをやる」。
そのために3つのアンテナを立てている。
1つは、“自分ができること”と“まわりの人が喜んでくれること”の接点を探してみる。誰かに感謝されたり喜ばれたりしたら、誰だってうれしい。「また、やってみよう」と思ったら、それが「やりたいこと」だ。
「自分が誰かに何かをしてもらって『ありがとう』と言うより、相手さんから『ありがとう』と言われることのほうが、人間は幸せだと思うんです。人に感謝されてうれしいと思う気持ちは、生きる活力につながっていきますね」
若宮さんは講演会の最後に大きな拍手をもらえると、毎回、心からうれしくなる。拍手はありがとうの言葉のかわり。講演会のために朝5時起きして会場入りした日でも、疲れが吹き飛ぶという。
2つめは「自分が欲しいものはなんだろう」と考えること。ゲームアプリも、ここから生まれた。
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