AIは日々の「節約生活」をどこまで助けてくれるか 家ごとに異なる「節約ポイント」は攻略できる?

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しかし、見える化すればムダ遣いが減るものでもない。スマートバンクの調査では、何らかの家計管理を行っていると答えた世帯においても、月平均で約8691円、年間では約10万円の“ムダ支出”が発生しているという。家計簿アプリであなたはこれだけムダ遣いしていると示しても、それを改善しようとして行動できる人ばかりではない。それだけ家計管理は面倒であり、支出のコントロールに取り組むのはハードルが高いのだ。

これは家計アドバイスに関わっている専門家であれば誰でもそう思うもの。「この支出を減らしましょう」と言ったとしても、それをするかどうかは当事者次第、ダイエットで「間食やお酒を減らせばいい」とわかっていても実行できないのと似ているかもしれない。

AIに財布を握られる未来が来る?

そこで、AIをもっと家計改善へコミットさせようというのが、スマートバンクの戦略だ。さっきのAIエアコンの話を思い出してほしい。その家の生活スタイルをAIが学んで、指示しなくても快適かつ省エネ度の高い環境を整えてくれる。家計も、その家固有の支出パターンと買い物の傾向があるはずで、それをAIが学んでいけば、理屈上はその家に最適な家計アドバイスが可能になるだろう。

この先「B/43」では、AIがその家の過去の支出ペースと比較してムダ遣いを警告したり、減らせそうな固定費がないかアドバイスをしたり等の改善サポートのほか、将来的には「自動化」も目指す。過去の支出データから必要家計費を計算し、可能な貯蓄額を割り出したり、また予算オーパーとなりそうな支払いを制限する。人間が何もしなくても、ムダ遣いになりそうな支払いは止められ、そのぶん貯蓄そして投資額が積み上がる。いずれはユーザーのデータを基に、住宅ローンはいくらまで借りていいのか、老後資金はいくら足りなくなりそうか、今FPに相談しているような内容もAIが回答を返してくれるようになるだろう。

全てAIにお任せすれば、どんなものぐさな人でも節約も貯蓄もできると聞けば歓迎すべき話だ。しかし、AIに財布をがっちり握られ、自分のお金を使っていいかのお伺いを立てなくてはいけない未来が来るかもしれない。どこまで任せ、どこからは自分が決めるのか。その線引きこそ人間が判断すべき最重要事項だろう。

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松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

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まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

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