TSMCの通知の背景について、中国の業界関係者の間では「アメリカ政府による先端半導体技術の対中輸出規制の強化が関係している」との見方が主流だ。ここ数年、アメリカ政府は中国の半導体産業の技術力向上を阻止しようと、先端技術の輸出規制の範囲を拡大し続けている。
これまでに、14nm以下に対応した(露光システムなどの)半導体製造装置の対中輸出を封じたほか、海外のファウンドリーが中国の半導体設計会社から高性能チップの製造を受託することも制限した。
高性能チップに関しては、アメリカ商務省の産業安全保障局(BIS)が2022年10月に輸出管理規則を改訂し、演算能力4800TOPS(1秒間に4800兆回)またはデータ伝送速度600GB/s(1秒間に600ギガバイト)以上の性能を持つ半導体の対中輸出を禁止した。
BISはこの規制を1年後に再改訂し、「トータル・プロセッシング・パフォーマンス(総合的な処理能力)」と呼ぶ新基準を導入。禁輸対象をさらに広げた。
中国は「全面国産化」を加速
前出の専門家は、今回のTSMCの通知はアメリカ政府が輸出管理規則の技術基準を一段と厳しくする前触れだと認識している。現時点でAI半導体がターゲットに含まれるのは明らかだが、新規制の最終的な対象範囲は「アメリカ政府の公式発表までわからない」という。
いずれにしても、中国の半導体業界はアメリカ政府のさらなる禁輸強化に対応を迫られる。業界関係者の多くは、財新記者の取材に対して異口同音に次のように語った。
「アメリカ政府の新規制がどんなものになろうとも、中国の半導体産業はアメリカに対していかなる幻想も抱かず、サプライチェーンの全面的な国産化を強力に推し進めるしかない」
(財新記者:劉沛林、覃敏、杜知航)
※原文の配信は11月10日
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