米政府、「半導体設計ソフト」の対中輸出規制強化 軍事転用防止が名目、シノプシスなど株価急落

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EDAの世界3大ベンダーのシノプシス、ケイデンス、シーメンスは、中国市場で合計8~9割のシェアを握る(写真はシノプシスの中国向けウェブサイトより)

半導体の設計に不可欠なEDA(電子設計自動化)と呼ばれるソフトウェアツールの対中輸出について、アメリカ政府が自国の開発企業に対して規制強化を通知したことが明らかになった。

EDAは半導体の機能設計、回路配置、テストなど(製造プロセスの川上から川下まで)さまざまな工程で使われている。アメリカEDA大手のシノプシスは5月29日、アメリカ商務省の産業安全保障局(BIS)から新たな対中輸出規制に関する書簡を受け取ったと発表した。

同社は前日に2025年2~4月期の四半期決算を発表したばかりだったが、BISの書簡はその後に届いたという。シノプシスは新たな規制が事業、業績、財務などに与える影響を精査する必要があるとし、1日前に開示した2025年5~7月期および通期の業績予想を留保した。

中国製EDAはシェア1割未満

同じくアメリカEDA大手のケイデンス・デザイン・システムズも、5月29日付でアメリカ証券取引委員会(SEC)に提出した文書の中で、BISから書簡を受け取ったことを明らかにした。

ケイデンスによれば、この書簡は特定のEDAの対中輸出にBISの許可が必要になったことを通知するもので、中国に輸出されたEDAが軍事目的に転用される可能性があり、そのようなリスクは受け入れられないと明記されていたという。

シノプシスとケイデンスはドイツのシーメンスとともにEDAの世界3大ベンダーと呼ばれ、3社のグローバル市場シェアは合計7割を超える。中国の半導体設計業界では3社のシェアが8~9割に達し、国産EDAのシェアは1割に満たない。

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