中国「空飛ぶクルマ」開発企業の急成長にブレーキ イーハンの1~3月の売上高58%減、赤字も拡大

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イーハンは空飛ぶクルマの商用化競争で世界の先頭を走るが、業績面は楽観できない。写真は上海市でのテスト飛行(同社ウェブサイトより)

「空飛ぶクルマ」の開発を手がける中国の億航智能(イーハン)の業績が、約1年間の急成長を経て失速の兆しを見せている。

同社が5月26日に発表した2025年1~3月期決算では、売上高が前年同期比約58%減の2610万元(約5億1790万円)に縮小。純損益は7840万元(約15億5580万円)の赤字で、損失額が前年同期比約24%増加した。

eVTOL(電動垂直離着陸機)とも呼ばれる空飛ぶクルマは、電動モーターでプロペラを駆動し、人を乗せて垂直離着陸が可能な飛行機械を指す。イーハンが開発したeVTOL 「EH216-S」は1~3月期の販売機数が11機にとどまり、前年同期の26機の半分未満に落ち込んだ。

業績悪化は一時的とするが…

イーハンの四半期業績は、2024年1~3月期から同年10~12月期まで4四半期連続で顕著な成長を記録した。通期ベースで見ると、2024年の年間売上高は4億5600万元(約90億4900万円)と前年の3.9倍に拡大。純損益は2億3000万元(約45億6420万円)の赤字だったものの、損失額は前年比24%縮小していた。

にもかかわらず、2025年1~3月期の業績はなぜ急に悪化したのか。イーハンの説明によれば、背景には主要顧客である地方政府傘下の国有企業の意思決定プロセスがある。

「国有企業の調達は政府予算の制約を受ける。新年度予算の策定には一定の時間がかかるうえ、国有企業は社内手続きに要する時間も(民営企業に比べて)長い」。イーハンの王釗COO(最高執行責任者)は決算説明会でそう述べ、1~3月期の業績落ち込みは年度初めの一時的なものという見解を示した。

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