入居申し込み殺到する"天空の廃墟"圧倒的な魅力 団地を借りたい人たちが夢見ているもの

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住環境としては抜群だが、住宅は荒廃が進んでいる。2020年度に市が老朽化を理由に廃止を決定し、2022年に最後の入居者が退去。その後は空き家になったままだったのだ。

だが、「広大な無人の団地が放置されているのは不安」と周囲から声が上がった。実際、窓ガラスが割られるなど看過できない事態も発生したため、市は活用を決意。2023年度に活用事業者として選定されたのが鎌倉を本拠とするまちづくり会社、エンジョイワークスである。

「暮らしながら働く人」を対象に考えた

用途地域は第一種低層住居専用地域。住むことが最優先される場所だが、住居だけで考えるには難しいところもあろうとエンジョイワークスが提案したのは“なりわい住宅”。住みながら家の一部を利用した小商いなどが可能な兼用住宅である。

「暮らしながら働く人を対象に考えました。具体的には緩くブロック分けをしてテイクアウトを中心とした飲食店、工房やスタジオ、古着やレコード、アンティーク家具などのショップ、広い庭を活かした農業やパーマカルチャーを意識した店舗などを配することを想定。夏から現地でイベントを開催するなどして募集を開始しました」とエンジョイワークス事業企画部の髙才ゆきさんは話す。

過去に2回開かれたイベントでは年齢、性別、家族構成もさまざまな人達が集まり、熱心に建物、敷地内を見学した(写真:エンジョイワークス提供)

入居自体は2025年4月〜7月になる予定で、現地を訪れても見られるのはエリアの自然環境と改修前の手の入っていない状態の住戸だけだ。だが、今年7月と9月に行われたイベントにはそれぞれ120人と170人が主に都内近郊から参加。11月初旬までに52戸中45戸以上の仮入居申し込みが入っており、中には2戸続きで借りたいという人もいる。

現時点ではレザークラフト、陶芸、菓子工房、カフェ、古着店、バイクのメンテナンス、古物商、フードトラック、整体、織物、金継ぎ、鮮魚店、私設図書館、子どもの居場所など、入居を希望する人のやりたいことは多様の一言である。

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