星野リゾート、総スカン「大学1年でも内定」の意義 学生や採用担当者には不評だが隠された意図がある?
欠員採用では、入社したその日からバリバリ働いてもらうことを期待します。そのため、スキルが低く教育訓練が必要な新卒者よりも、即戦力である経験者の中途採用を優先します。AI技術者のような超人材難の職種を除いて、先物買いで新卒者を採用する理由はありません。
また、アメリカの大学では卒業のための単位取得が難しいので、学生は卒業するかどうか不確かですし、在学中に就活をする暇がありません。即戦力を必要とする企業は、ちゃんと卒業し、働き始めてくれるかわからない学生を当てにすることを躊躇します。
これらが、アメリカで新卒一括採用が普及していない理由です。逆に言うと、日本で新卒一括採用が普及しているのは、ジョブ型雇用ではないことや大学の卒業条件が緩いことが前提条件になっています。
新卒一括採用の廃止に向けた議論が加速?
いま日本企業は、政府の後押しも受けて、ジョブ型雇用=職務給への転換を進めています。まだ、従来の職能資格制度を維持している企業が多いようですが、これから本格的に浸透するでしょう。
ジョブ型雇用が一般的になると、アメリカのように中途採用が主体になり、新卒一括採用は最終的に消滅します。スキル・経験値が低い若年層の失業率は、かなり上昇するでしょう。
この状況に、学生・企業・政府は対応を迫られます。学生は、経験者に伍して就職できるよう、スキルを高める必要があります。企業は、さらに激化する中途採用の見直しを迫られます。政府は、若年層の失業対策を進める必要があります。
戦略家として名高い星野社長。あくまで想像ですが、「新卒一括採用ってホント馬鹿馬鹿しいですね。今後も維持するべきかどうか、考えるヒントを皆さんに差し上げます」という意図で、今回の新制度を打ち出したのかもしれません。
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