星野リゾート、総スカン「大学1年でも内定」の意義 学生や採用担当者には不評だが隠された意図がある?
また、大手企業の人事部門担当者39人にもアンケート・ヒアリング調査をしました。こちらは、「どういうやり方かわからないので、なんとも言えない」(金融)という意見が少数あったものの、ほぼ全員が懐疑的・否定的な意見でした。
「1年生に内定を出しても、卒業するまでに学生の興味・関心が変わるので、ほぼ全員が内定辞退するでしょう。採用期間が長期化し、採用活動の費用対効果が悪化し、企業にとってはまったく意味がないことだと思います」(通信・小売り・輸送機など多数)
「1年生だと、採用面接でガクチカ(学生時代に力を入れたこと)を聞けません。ということは、コウチカ・チュウチカを聞くんですか。1年生の応募者からいったいどうやって優秀な人材を選べばよいのか、まったくイメージが湧きません」(IT)
「究極の青田買いですね。当社は、同業他社の青田買いと一線を画すという採用方針です。仮に将来、星野リゾートのやり方が主流になったとしても、1年生の頃からシコシコと就活に勤しむような学生を採用したくありません。それで新人を採れないというなら、全員中途採用で良いと思っています」(商社)
星野リゾートで採用担当をやりたくない
ここで、個人的に印象に残ったのは、「星野リゾートの採用担当者は本当にお気の毒。私は絶対に星野リゾートで採用担当者をやりたくありません」と結論付けた次のコメントです。
「いま新卒採用では、インターン・会社説明会・面接・内定者フォローなど多大な労力を掛けています。私たち採用担当者がフラフラになりながらも何とか頑張れているのは、ちゃんと入社し、活躍してくれる学生がいるから。1年生に内定を出して3年間親身にフォローして他社に逃げられたら、ショックで立ち直れないと思います」(素材)
このように、星野リゾートの新制度に大学生はあまり魅力を、採用担当者はまったくメリットを感じていません。いまは星野リゾートだけの動きですが、これに追随する企業が多数出てきたら、政府も何らかの規制に乗り出すことでしょう。ということで、星野リゾートの新制度が大きく広がることはなさそうです。
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