チロルチョコ「虫混入?」騒動対応が見事すぎた訳 迅速な対応と、消費者コミュニケーションの妙

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2023年には、丸亀製麺の「シェイクうどん」に、生きたカエルが混入していたとSNSで動画投稿され、こちらも話題になった。同年には、サイゼリヤのサラダから、こちらも生きたカエルが出てきたとして謝罪した。

直近では、2024年5月に、「Pasco(パスコ)」のブランド名で知られる敷島製パンの一部工場で生産されたパン商品に、「小動物らしきものの一部」が混入していたと発表された。その後、その異物は「クマネズミの子ども(約60mm)」だと伝えられている。

関連記事:パスコ超熟「60ミリの子ネズミ混入」対応の成否 誠実ゆえに、消費者に過度の想像をさせた

菓子メーカーも例外ではない。ちょうど11月7日には、菓子大手のシャトレーゼが、一部商品へのカメムシ混入について発表した。その前日に、フジテレビが「『2週間以内に原因報告』とするも連絡無く」と報じてからの発表となり、「弊社側のお客様対応におきましてご報告の大幅な遅れや不十分なコミュニケーションがあった」として、初動対応のミスを認めている。

ブランドイメージが損なわれないよう早急な対応が必要

食品への異物混入については、真偽はどちらにせよ、企業は早急に対応する必要がある。

事実であれば、即座に生産ラインを止め、必要に応じて商品回収を行わなくてはならない。また虚偽であっても、ブランドイメージが損なわれないよう、投稿者への対応に加えて、一般消費者への経緯説明も、同時並行で行う必要がある。

その点、チロルチョコの件は、初動からアフターフォローまで完璧と言える。投稿当日にすぐさま、企業側から投稿者へDMを送信した。あわせて動画の商品を特定し、今年は未発売の季節商品だと推測。これらを合わせて、ひとまずの現状報告として、公式Xに投稿している。

この投稿では、あわせて謝罪も行われているが、その言い回しを「投稿主様と皆様にご不快とご不安を与え大変申し訳ございません」とした点もポイントが高い。メーカー側で虫が混入した可能性にも配慮したのだろう。

投稿者の事実誤認を伝えた際にも、細かな気配りが見える。「弊社としてはご家族とご本人様からお詫びのご連絡を頂いておりますので投稿主様へのコメントやお問い合わせはお控え頂けますと幸いです」として、一般ユーザーからの“私刑”にクギを刺したのだ。

実際、今回の投稿については疑問の声も出ており、「あの投稿は確実に悪意ある」「デマを流した罪は重い」「営業妨害で訴えて、損害賠償請求もすべき」といった声がチロルチョコの公式Xにもリプライで寄せられていたが、“私刑”にクギを刺すことで、騒動自体が長引くことを防ぐことにつながった。

チロルチョコ
こちらがチロルチョコ。チロルチョコ株式会社が販売している。同社は社員数が約50人の、中小企業だ(編集部撮影)
チロルチョコ
チロルチョコは、2重に包装されている。チョコレート製造時に虫が混入してしまうならわかるものの、包装後に入り、コンビニやスーパー等で気づかぬうちに販売されることは、現実的に考えてあまりないような気も…?(編集部撮影)
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