救急隊がやってきたのは17時30分頃。症状を告げると「アナフィラキシーの疑い」を指摘され、近くの総合病院に搬送された。対応した救急医も、「薬を服用後すぐに症状が出ているので、薬によるアナフィラキシーに間違いない」と診断をつけた。
幸い、お腹の中のものをすべて出しつくしたせいか、病院に着く頃には症状はかなり治まっていた。残っていた不快な症状も、病院でアナフィラキシーの治療を受けると、すぐに治まった。
早苗さんはこのとき、医師から「アナフィラキシーが重篤化すると気道がふさがれ、窒息してしまうこともある」と説明され、「救急車を呼んで正解だった」と言われたそうだ。
まさか自分がアナフィラキシーに
アナフィラキシーとは、アレルギーがある食べ物や薬を口にしたり、ハチに刺されたりしたあとに皮膚のかゆみや赤み、じんましんなどの皮膚症状、唇や舌のむくみ、呼吸困難や下痢、嘔吐などが表れるものをいう。
重症の場合には血圧が急低下したり意識を失ったりすることもあり、これを「アナフィラキシーショック」という。
「まさか自分がアナフィラキシーになるなんて、と驚きました」と早苗さん振り返ってこう話す。
原因となったのは、ニキビの治療でもらった抗菌薬だったが、半年ほど前に同じ抗菌薬を処方されて飲んだときは、何も症状が出なかったそうだ。
「ただ、関連があるかわらないんですけれど……」
今回の件で、母親と話しているときに思い出した“心当たり”が1つあったという。高校1年生のときに、扁桃炎で別の抗菌薬を飲んだときにじんましんが出て、3週間ほど入院したことがあったのだ(のちに扁桃腺は、EBウイルス感染症によるものと判明)。
そのときも服用後、すぐに全身にじんましんが表れた。皮膚科で診てもらったら「薬の副作用の可能性がある」と言われ、大学病院を紹介された。
「あれから7年あまり経っていたし、あのときのできごとはすっかり忘れてしまっていたんです」(早苗さん)
ただ今回、アナフィラキシーを発症したことで、「自分の体は自分で守るしかない」と実感したという。これからはどの診療科に行くときも、初診時に書く問診票のアレルギー欄には「○」を付け、抗菌薬で起こったことを詳しく書いて、自分の口からも医師に話すようにするつもりだ。