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【NASA発表】月面着陸、意外すぎる9つの候補地 「アルテミス計画」日本人宇宙飛行士2人も月へ

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  • 井筒 智彦 宇宙博士、東京大学 博士号(理学)
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では、なぜ月の北極ではなく、南極なのでしょうか?

月の北極や南極は「日当たりがいい」といいましたが、私たちが日常でイメージする日当たりのよさとは異なります。太陽の光は上から照り付けるのではなく、横から差し込みます。

月面には、クレーターという凹凸があちこちにあります。月の北極や南極にあるクレーターの穴のなかでは、太陽の光がまったく差し込まない場所が存在するのです。

こうした場所は、永久に日が当たらず影になっていることから、「永久影(えいきゅうかげ)」と呼ばれています。

日当たりが悪すぎる場所の近くがいい

永久影は、1年中どころか、何百年、何万年、いや、なんと何億年にもわたって、太陽の光が当たっていない「日当たりが悪すぎる」場所です。

マイナス200℃を下回るようなところもあり、月面でキンキンに冷え続けている場所なのです。

この永久影には、「凍った水」が存在すると期待されています。

月面は、水気のない、カラッカラに乾いた土地です。そこに、なんらかのプロセスで水分子が発生し、キンキンに冷えた永久影にピタッと凍りつき、何億年にもわたってコツコツ蓄積している可能性があるのです。

永久影の領域は北極よりも南極のほうが広く、2018年の研究でも、南極のほうに水が集中していそうな観測結果が出ています。

スペースXが狙う『100万人火星移住』実現可能か?」でお伝えしたように、月面での水は、一石三鳥にも四鳥にもなる重要な役割があります。

地球から月まで水を運んでいければいいですが、そうすると水1kgあたり1億円もかかってしまいます。金1kgが約1500万円なので、月面での水は金よりも貴重なのです。

人類が月面基地をつくるうえで最もいいのは、年間を通して日当たりがよくて電力の確保ができ、かつ、近くに大量の水がある場所です。

ふだん私たちが住まいを選ぶ際にも、日当たりがよくて、必要なものが手に入りやすい場所のほうがいいですよね。それと同じです。

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【どれほどの水が月に存在するのか】

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