リーダーは、「I=私」ではなく、「We=私たち」という視線で考えなければなりません。
組織に適切な規模は、5人なのか、15人なのか、50人なのか、150人なのか。そして、その規模を、「私たち」という視点で考えたとき、なにをするべきかを想像するのです。
こういったリーダーシップの重要性について、本書は、具体的な事例をともなって解説しています。
「組織が個人のために尽くす」時代
特に、これまでは「個人が組織のために尽くせ」と言われてきたが、これからは「組織が個人のために尽くす」という理念でなければ成り立たなくなるとまで言及しているのは、すごいところです。
これまでの新人研修は、新入社員がどれだけ技能を磨いて、会社のために尽くすことができるのかということばかり言ってきました。でも、これからはそうではありません。
「君がやりたいことは何なのか?」
「君の個性に合ったやり方をどう与えればよいのか?」
そういうことを会社が言うことによって、個人のやる気が出たり、会社に尽くす気持ちが湧いたりするわけです。リーダーはそれを心がけなければならない。これは素晴らしい提言です。
僕は、小さな組織の長ですが、「組織のためにやろう」とは言いません。研究所ですから、それぞれが独特の研究をして、世界に冠たるクリエイティブな研究へと展開してくれなければならない。ですから、研究者がいかに自由に、思う存分能力を発揮できるかを心がけているのです。
こういうことは、利益を追求する組織でないから言えることでもあります。ですが、利益を追求する会社も、そのような姿勢でなければならなくなるでしょう。
株主優先型の会社組織は、2010年代にはすでに時代遅れとされ、さまざまなステークホルダーに対して、会社が説明責任を果たさなければならなくなりました。これからは、社員に対してもそれが求められる時代になったわけです。
そして、その組織の姿勢は、集団の規模を考えながら作っていかなければならない。この指摘は、新しいところです。
(つづく)
(構成:泉美木蘭)
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