「社員のために尽くす会社」だけが生き残る理由 優れたリーダーに必要な「私たち」という視点

✎ 1〜 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
争いばかりの人間たちへ ゴリラの国から
『争いばかりの人間たちへ ゴリラの国から』(毎日新聞出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

自分が傍観者であっても、いろんな登場人物を見て、その心の中にどんなことを描いて行動しているのかを理解できる。そして、この能力がなければ、複雑な社会を生きていけません。

人間の脳は、大きさそのものは12~16歳ぐらいで完成しますが、社会認知能力が発達するのは、それ以降で、25歳ぐらいまではレベルアップしていきます。

つまり、大学を出たぐらいの年齢でも、まだ完成していないのです。

この社会認知能力の話は、実は『「組織と人数」の絶対法則』の中心でもあります。

リーダーたる者は、5人、50人、100人、150人という組織において、どういう人がいるのかを把握し、それを創造的な形に持っていかなければなりません。

僕が、150人規模の集団のことを「ソーシャルキャピタル」と言ったのは、150人が適切な人数だというわけではなく、150人が上限だという意味です。

どんなに信頼できる人たちを追い求めていっても、150人以上にはならない。メンバーが入れ替わっていくのです。

5人規模のチームは、お互いのことをよく知っていますから、どんどん行動して実行部隊になるでしょう。しかし、その5人が同じような考えにまとまってしまったら、クリエイティビティは生まれなくなります。そこで、荒療治になっても、メンバーを入れ替えなければならないわけです。

人間同士がうまく交流できるようにする

入れ替えるだけでなく、5人の組織なら毎日、15人なら週に1度、50人なら月に1度、150人なら年に1度、会わなければ集団を維持できません。対面が重要であり、オンラインではダメです。

だからと言って、現在の科学技術をまったく無視することはできません。オンラインはサポートしながらも、人間の本質を見失ってはいけないということです。

特に、会社のリーダーは、本書に紹介されている「友情の7本柱」(共有された興味、世界観、ユーモアのセンス、音楽の好み、言語、教育、10代を過ごした土地)を活用するなどして、人間同士としてどういう交流を作るのかを考えなければなりません。

一緒に歌を歌ったり、ダンスを踊ったり、物語を語ったりして、身体の同調を高めるような交流を心がけなければ、信頼関係も、組織へのロイヤリティ(忠誠心)も高まっていかないのです。

次ページリーダーは「I」ではなく「We」で考えよ
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事