図表1で注意すべきは、アベノミクスが導入されても、日本の劣化は止まらなかったことだ。むしろ、最近の数年間では、日本の低下がより顕著になっている。つまり、アベノミクスは、日本の劣化を加速したのだ。
アベノミクスは大規模金融緩和を中心とした政策であったが、それが日本を再生させることなく、かえって衰退を加速したことに注意が必要である。
新技術の開発や人材の能力向上といった課題は無視し、ひたすら安い金利で資金を利用可能とし、かつ円安を追求した。それに応じて、日本経済が衰退していったのは、必然であった。
アベノミクス見直しを見送った石破首相
したがって、本来であれば、今回の総選挙においても、アベノミクスの見直しが主要な争点になってしかるべきだった。実際、石破首相は、かねてアベノミクスの再点検が必要だとしていた。しかし、総選挙ではこの問題を封印してしまった。
また、不思議なことに、野党からも、この点についての突っ込んだ議論はなされなかった。
金融正常化とは金利を引き上げることであり、それは金利負担を重くすることであり、借入人の負担を重くするから望ましくないという考えが支配的だからだ。
実は、低い金利を続けることこそが、日本経済にとっての大きな問題なのだ。しかし、そうした議論はまったく行われなかった。つまり、日本経済にとっての最も重要な論点が、今回の総選挙においては論議されなかったことになる。
事態はすでに深刻なレベルにまで達している。それにもかかわらず、政治は、この問題から目をそらしている。国民も目を覚まさない。この状態を打破するには、いったいどうしたらいいのだろうか?
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