今回の総選挙においては、政治資金問題が最大の争点となるだろう。それ以外に、経済問題について、とりわけ、増税と年金改革についての論議が必要だ。昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第131回。
政治資金問題が最大の争点
今回の総選挙の最大の争点は、政治資金問題、つまり、「政治と金の問題」になるだろう。これは、もちろん重要な問題だ。そして、この問題の処理がうやむやのままになっていることについて、国民の不満は大きい。
裁判で有罪とされたのは、事務局の責任者だけであり、肝心要の政治家の責任は追及されていない。さらに、現在の制度をどう改革するかについても、何も具体的な青写真が提示されていない。
とりわけ問題なのは、この問題は、単に政治資金の流れの透明化というだけのものではないことだ。その基本には、政治資金に対する課税をどうすべきかという問題がある。
現在のような広範囲な非課税扱いが正当化できるとは、到底思えない。それにもかかわらず、これについて、何の議論もなく、改革案も出されていない。
あまりに大きな問題であるために、議論も改革もできないのだろう。しかし、それが許容されるわけではない。政治資金課税の問題が、総選挙で論議されることを望みたい。
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