アメリカで実用段階になっている自動運転技術が、日本では利用できない。それは、日本に高度な技術者がいないからだ。これは、日米技術者の給与を比較してみると、確かめられる。
日本の自動車メーカーを動かしているのは、高度な技術者というよりは、熟練工だ。日本では、学歴の差にこだわるのに、新技術を開発できるような学力の差を問題としていない。昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第130回。
AIにおける「日米格差」は著しい
日本では、運転手不足のため路線バスの減便が余儀なくされ、タクシーにも乗れず、多数の交通難民が発生している。しかし、アメリカでは、AIが運転する完全自動運転タクシーがすでに利用されている。前回の本欄で、このように述べた。
アメリカでは、運転手不足問題を、AIという強力な技術が解決してくれる。ところが、日本で運転手不足を解消しようとしても、残念ながら、自動タクシーを導入することができない。必要な技術を保有していないからだ。
AI分野における日米間技術格差は著しい。それが、日常生活においてもこのような差を生むに至っている。
では、アメリカでは自動運転が可能になっているのに、なぜ日本では利用できないのか?それは、自動運転技術を開発するだけの高い能力を持つ技術者が、アメリカにはいるが、日本にはいないからだ。
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