今こそ言いたい「日本経済を衰退させた真犯人」 選挙で日本経済の未来が議論されない異常事態

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しかも、日本の地位の低下は、その後も止まらずに続いている。この状況が続けば、未来の日本は、さまざまな面において、大きな困難に直面せざるをえないだろう。

1980年代に「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称された日本が、その後、世界における地位を下げたのは、1980年代、1990年代に生じた大きな世界経済の構造変化による。なかでも重要なのは、中国が工業化に成功したことだ。そして、情報関連技術において、IT革命と呼ばれる大きな変化が生じたことだ。

このいずれに対しても、日本は適切に対応することができなかった。それに加えて、政府の政策や企業が対応を誤ったのだ。

つまり、やりようによっては、中国工業化やIT革命に対して、対応が可能だったはずなのである。それだけでなく、こうした条件変化を利用して、新しい経済成長を実現することができたはずだ。

そうした対応に実際に成功した国・地域を、いくつも挙げることができる。アジアにおいては、韓国、台湾、香港、シンガポールがその例だ。

これらの国・地域は、1990年代頃には1人当たりGDPで日本とは比較にならないほど低かった。しかし、いまでは日本よりも高い。香港、シンガポールは世界のトップクラスになっており、日本はとても追いつかない。韓国や台湾も、最近時点で日本を抜いた。

これらの国・地域に共通しているのは、新しい技術やビジネスモデルを導入して、新しい経済活動を展開していることである。これがとくに顕著なのが台湾だ。半導体の受託製造会社TSMCの躍進ぶりは、よく知られている。

アベノミクスが日本の劣化を加速した

それに対して、日本の地位は、この間に低下を続けた。新しい技術も、革新的なビジネスモデルも現れなかった。

こうなってしまったのは、円安や金融緩和といった目先の政策に終始して、新しい技術の開発やビジネスモデルの導入、あるいは人材の育成といった問題をなおざりにしたからだ。

本稿の最初で、経済問題に対する最も重要な論点が、総選挙で議論されなかったと述べた。これは選挙においてだけの問題ではない。実際の政策面においても、最も重要な政策がなおざりにされ、円安や低金利などの政策が続けられたからだ。

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