2011年、男子プロのゴルフシーズンを振り返ると、アマチュアでありながら三井住友VISA太平洋マスターズで勝った、東北福祉大学の松山英樹をはじめ、数多くの新しい選手が大活躍。また、谷口徹や平塚哲二、藤田寛之、久保谷健一といったベテラン勢も健在し、男子プロゴルフ界は来シーズンも面白いゲームが見られそうです。
ここでちょっと注目してほしいのは、谷口、平塚、藤田、それに久保谷の4選手。彼らに共通するのは、機会があれば必ず今も海外の試合を経験していることです。説明するまでもなく海外の試合は、その土地によってコースも違えば、周りの環境も違う、日本でちょっとした有名選手でも海外に出ればただの人、夕飯一つにしても、キャディーは一緒かもしれないけど、自分で探して自分で食べないといけません。海外に行くにしても団体では意味がありません。この孤立感が試合に役に立つんですよ。4選手に「選手生命の長さの秘訣は?」と聞けば「未知のコースへの挑戦意欲かな」と、きっと同じことを言いますよ。
自分の経験からすると、挑戦意欲の強い選手たちでも、毎年オフシーズンがやってくると「来年は日本でのんびり過ごそう」と思うんです。でも正月が明ける頃になると、出場資格がある試合は海外に出てみようかな…そう思ってしまうんですよ。この気持ちが技術と選手生命をのばすんですね。今年も「来季はリタイアですか?」とアメリカのチャンピオンツアーから連絡があったけど、
「いやいや、資格のある試合には参加したい」と答えてしまいました。根っからのゴルフ好きなもんで、試合の1番ティに立つ緊張感と期待感、あの喜びは捨てがたいものがあるんです。
ただ、プロスポーツはお客様に見ていただいてナンボの世界。見るに忍びない、そんなプレーをしないためにも、日頃の鍛錬が必要なのは言うまでもありません。「心技体」この三拍子がそろわないとスポーツはうまくいかないといいます。最初の文字が「心」、精神力となっていますが、自分は昔から「体技心」と、三拍子の最初は「体」が来るものと思ってます。体が元気だからこそ心に気力が生まれ、闘争心に火がついて来年も何試合かはアメリカに出たい、日本のレギュラーツアーにも顔を出してみたい、そう思えるんですね。
体を元気にする、その努力の第一歩は歩くことでしょうね。近くのスーパーで買い物をするときでも、歩いて買い物袋を持って帰りますよ。シニアツアーはカートに乗ってプレー可の大会もありますが、乗ったことはありません。カートから降りて、突然ボールの前に立って、さあ打ってみなと言われても、うまく打てるもんじゃありません。歩いている最中は、いいスイングをするための呼吸を合わせる「間づくり」の時間なのです。
歩きはゴルフの要、来シーズンもよく歩き、エージシュートのご報告でもしたいものです。
1942年千葉県生まれ。64年にプロテスト合格。以来、世界4大ツアー(日米欧豪)で優勝するなど、通算85勝。国内賞金王5回。2004年日本人男性初の世界ゴルフ殿堂入り。07、08年と2年連続エージシュートを達成。現在も海外シニアツアーに参加。08年紫綬褒章受章。
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