震災復興を願い今年も心をひとつに

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プロゴルファー/小林浩美

 年が明けると気持ちも新たになる。ゴルフツアーがオフの1月は、気分がゆっくりするとともに徐々に開幕に向けての準備が始まる。

昨年を振り返ると、3月にシーズンが開幕するやいなや東日本大震災が起こった。日本中が甚大な被害と言葉にならない悲しみに覆われた。そして国内はじめ世界中から支援の手が届き、私たち日本女子プロゴルフ協会も被災地の方々の少しでもお役に立てればという思いで、選手はじめ全会員が「心をひとつに」という復興支援スローガンの下、年間通じてチャリティ活動をさせていただいた。当初4試合が中止になり、その間みんなで街頭募金活動を全国5カ所で始めた。喪章をつけて始まった試合再開に、選手全員普通に試合(仕事)ができる有り難さ、幸せを感じた。

最初の試合で勝ったのは不動裕理さん。日本を代表する選手の震災に対する思いがこもったプレーでの優勝だった。そしてこの試合からずっとツアー選手たちは獲得賞金の3%を義援金とした。元気な私たちが頑張って復興復旧のお手伝いをするという思いはスポンサーの方々も同じだった。7月、ある試合で有村智恵プロがホールインワンとアルバトロスを同日に達成して、日本中のゴルフファンを大いに沸かせた。実はその試合、バーディーを一つ取るごとに1万円、イーグルなら4万円、アルバトロスは8万円、ホールインワンなら6万円を、選手が出した数×その金額を義援金とするというものだった。がぜん選手たちは張り切り、諸見里しのぶさんの最終日ハーフ27(-9)もこの試合で出たもので、選手たちのいいプレーを引き出し、なおかつ復興支援にも役に立つことができる仕組みをスポンサーが作って下さった。

8月には、福島の子供たちにゴルフ場で遊んでもらおうという企画を福島県ゴルフ連盟と協会で共催した。親子、あるいは祖父母と一緒に来てスナッグゴルフの体験、パットやアプローチ、ショットの打ち方をツアー選手たちに習い、芝滑りで遊んでもらった。ミーティング委員長(選手会長のような立場)の大山志保さんは、今年は選手の先頭に立ってさまざまな活動をしていた。そんな中10月の試合でこれまでの不調を吹き飛ばす復活優勝を見事飾った。また、「まけるな日本」の缶バッジをつけて米国で戦っていた上田桃子さん。それまでとはプレー態度ががらりと変わり、4年間もがき苦しみ迷い悩んでいたがこちらも復活優勝を果たした。9月、被災地宮城県で開催された試合には並々ならぬ思いで選手たちが国内外から集結し、プレーさせていただいた。

昨年のツアーは、震災復興を願い「希望と勇気と元気」を被災地の皆様にお届けできるよう、それぞれの選手の思いがこもった戦いだった。今年も復興支援活動を継続し、多くのゴルフファンの皆様に応援していただけるよう気持ちを込めて戦うに違いない。

プロゴルファー/小林浩美(こばやし・ひろみ)
1963年福島県生まれ。89年にプロ初優勝と年間6勝を挙げ、90年から米ツアーに参戦、4勝を挙げる。欧州ツアー1勝を含め通算15勝。現在、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)会長。所属/日立グループ。
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