誰でも一緒に楽しめる それがゴルフの良さ!

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漫画家/弘兼憲史

 以前、ゴルフは自己申告制で成り立っているからスポーツの中で最もフェアだと思う、と書かせていただきましたが、年齢や性別を問わず「誰でも一緒に楽しめる」という点も、僕がフェアだと思う根本的な理由の一つです。
 たとえばラグビーにしても、野球にしても、マラソンにしても、スポーツというのは“体力勝負”の世界。若者が年配者に勝つのは当然です。しかしゴルフはというと、筋肉がいちばん発達している20代の人と、70歳以上の人が一緒にプレーしても、往々にして後者が勝ったりするわけです。ゴルフには、自由な「クラブの選択肢」があるので、飛距離の出ない人は第2打も“飛ぶクラブ”、たとえばドライバーを使っても構わない。そこからさまざまな可能性が広がっていくんですね。

ちなみに、大抵の男性は飛距離を出すことに“男らしさ”を見いだそうとするので、パー5のホールなどはアイアン二つで刻めるのに、フェアウェーウッドで2オンを狙ってグリーンに乗せようと、わずか10%くらいの確率を求めて打つ傾向があります。結果、9割の人が失敗してバンカーに入れたりOBになったりします(笑)。ただし、その選択も個人の自由。つまり冒険してもいいし、慎重にいってもいい、それはあなたの考え方次第ですよというスポーツなんですね。必ずしもこれでやらなきゃいけないという決まりがないので、年齢を重ねて体力が衰えてもできる唯一のスポーツといってもいいかもしれません。スポーツじゃないけれど、カラオケだと、そこに立ちはだかる年齢差というか趣味の違いは、どうしても埋められないものがあるし、ハッキリ言って世代が違うと絶対楽しめないですよね。

あと女性に対しても非常にフェアというか、気を使っているというべきなのかな? 少し近いところから打てる「レディースティー」というものが存在します。いわゆるコンペ等のドラコンホールは、普通はどう考えたって男が勝つに決まっているけど、レディースティーを設定することで女性がとるケースが多いですよね。これもフェアというか、男女の体力差を考慮して条件を“公平”にしてると言えるんじゃないでしょうか。だから会社なんかでも、皆が同じ条件で遊べるイベント行事として、よく採用されているんでしょうね。

逆にあえてゴルフの“公平でないところ”を挙げるとしたら、「お金」がないと始めるのは難しいというところでしょうか。まずゴルフ場の芝生のメンテナンスには莫大な費用がかかるし、キャディーさんをつけて、キャリーバッグを運ぶカートの料金等々……、日本のゴルフ場は高いですから。普通の若者がゴルフをするには、まだまだ敷居が高いということですかね。いっそのこと原点に戻って、原野でボールを打って遊ぶようなボコボコのフェアウェーにすれば安くできて、新たなゴルフ人口が増えるかもしれませんね。

漫画家/弘兼憲史(ひろかね・けんし)
山口県出身。早稲田大学法学部卒。松下電器産業(現パナソニック)勤務を経たのち、1974年に漫画家としてデビュー。現在、『島耕作』シリーズ(講談社)、『黄昏流星群』(小学館)を連載するほか、ラジオのパーソナリティとしても活躍中。
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