中小企業が「太陽光発電」を導入するメリット3つ "脱炭素経営への無関心"は資金調達にも不利に
最新の経済産業省が公開した資料によると、太陽光発電施設(屋根置き10kW以上、2023年)の平均設置費用は、1kWあたり23.9万円です。これにパネルの合計容量(kW)をかければ全体のコストが算出できます。
一方、PPAでは、施設の設置費用はエネルギーサービス会社が負担しますが、電気料金を支払う必要があります。
オンサイトPPA方式にかかるコストを自然エネルギー財団が試算したのが図表3です。1kWhあたり15~18円というのが、オンサイトPPA方式で需要家が支払う料金の目安になります。
オンサイトPPA方式(購入方式も同様)では、再生可能エネルギー発電促進賦課金や託送料(送電線の利用料)がかからないので、通常の電気料金(ここでは高圧契約)に比べて、かなり安くなります。
図表3の発電コストには、発電施設を所有するエネルギーサービス会社のコスト(諸経費や利益)も含まれているため、購入方式の場合は、これよりさらに安くなる可能性が高いと考えられます。
どのくらいで投資分の元が取れるか、簡易計算するのはそれほど難しいことではありません。自家消費型太陽光発電の導入は、再生エネの積極的な利用による温暖化防止への貢献や、災害などの緊急時に使える電源を確保できるだけでなく、電気料金の削減にも寄与するのです。
導入にあたっての注意点
実際に導入する場合は、大きく分けて、自己資金で発電施設を設置するか、施設の設置はエネルギーサービス会社に任せるかを選択することになりますが、それぞれ留意点もあります。
まず、購入方式の場合は、信頼のおける設置業者を選ぶ必要があります。
発電施設は、技術的には地元の施工会社でも可能なレベルの設備です。しかし、訪問販売による業者も多く、特に蓄電池をセットで勧めるケースに対しては慎重な対応が必須です。長期にわたって使い、自らの事業所などに設置するものなので、相見積りも含めて入念な業者チェックが必要です。
一方、PPAは専門のサービス提供事業者と契約することになります。こちらも長期間の契約になるので、さらに精査が必要です。
環境省や経済産業省は、さまざまな手引きをインターネットなどで公開しています。一部、PPA事業者を紹介するものもあり、補助金も各種そろっているので、ぜひ一度、ご覧になってください。
自家消費型太陽光発電の導入に際しては、念入りな情報収集と、各都道府県の環境事務所などに相談することもお勧めします。
日本再生可能エネルギー総合研究所代表、株式会社日本再生エネリンク代表取締役、埼玉大学社会変革研究センター・脱炭素推進部門客員教授。1979年、民間放送テレビキー局入局。ニュース、報道でエネルギー、環境関連番組など多数制作。その後、ドイツ留学、建設会社の再生エネ部門等を経て、独立。再生エネ関係のコンサルティング、エネルギー会社の立ち上げ、事業支援等に携わるほか、執筆多数。
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