実は大学5年生のときに、山田さんは自身がADHDであるという診断を受けて、入退院を繰り返していました。
6年生のときに医師国家試験を受験したものの、体調を整えることがメインだったため、「流れで受けただけ」で、不合格になってしまいました。
「なんとか大学は卒業できたのですが、卒業してからの1年も体調を崩しがちで、4カ月ほど入院していました。ただ、このときに入院した発達外来のある病院が、私の体調不良の原因が発達障がいにあることを突き止めてくれたんです。それで医師の方に『つらかったね』と寄り添っていただけたので楽になりました。
ただ、もうこの年は体力がなくなっていて、『医師免許を取ろう』という気持ちはありませんでした」
医師を諦めかけたときの「まさかの出会い」
医師になることを半分諦めかけていた山田さんですが、医学部を卒業した後、病院で患者同士として出会った仲のいい女性に現在の自分の状況を説明したところ「ちゃんと医師になりなよ!」と言われて、背中を押してくれたそうです。
「それをきっかけに、全然勉強してないけれど、国家試験を受けてみようと決意して受験しました。ただ、まるで歯が立たなくて、『ちゃんと予備校に行かないと受かる試験ではない』と痛感したのです」
ここで出会った女性は、後に山田さんの妻になりました。良きパートナーの支えもあり、医師国家試験に合格するまで受験勉強を続ける決意をした山田さんは、国家試験2浪目に突入します。
山田さんは、この年から医師国家試験対策をしてくれる予備校に入って勉強を始めました。
医師国家試験の問題は大きく、必修と一般臨床に分かれています。必修は80%以上の得点が必要で、一般臨床は下位1割が落ちるとされています。また、合格率は9割前後ではあるものの、その対策はとても大変だったそうです。
「毎年試験の難易度が上がっていましたし、ただでさえ賢い全国の医学部の学生が予備校に通って必死に対策をする試験なので、私のように医学部を何度も留年してギリギリ卒業した人間だと、とても苦労しました。
それなのに私は1日3〜4時間くらいしか勉強時間を取っていませんでしたし、授業を聞いて、最低限テキストを暗記するのを機械的にやるだけでした。
これだけやっていれば受かるだろうという感じで、軽く考えていたのです。予備校ではいい先生にも巡り合ったのですが、医師国家試験に向けた勉強をするのが人生でほぼ初めてだったので、合格までの距離感がわからず、試験を舐めていました」
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