ワタミ、身売り話も飛び出した三重苦の実態 不振の外食を支えてきた介護と宅食も失速

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創業者の渡邉美樹氏はワタミの現状に何を思うのか(撮影:梅谷秀司、写真は2006年撮影)

今後についても不安が付きまとう。和民では、9月からご飯ものや麺類を中心に、メニュー数を増やす方針だ。「商品のバラエティ感を出してほしい」との消費者の声を受けたもので、商品数は68から85となる。

ただ、同業態では、4月にメニュー数を減らしたばかり。短期間でのメニュー戦略の転換によって、店舗のオペレーションに問題が生じないか、懸念はぬぐえない。

一方、介護は体験入居の料金を半額に下げたほか、各老人ホームに配置する入居相談員を増員。宅食は、新製法を導入した軟らかさ重視の総菜商品を拡充したり、広告宣伝費を積み増すことで挽回を狙う。どちらも評判が業況に大きな影響を与える事業だけに、信頼回復が最優先事項だが、効果のほどは未知数だ。

今年度の黒字化が不可欠

当面の課題は、今年度の業績回復である。

というのも、ワタミは介護事業に関連し、金融機関との間で財務制限条項付きの契約を結んでいた。ところが、近年の業績低迷により、2014年度末にこの条項に抵触した。そこで今年7月、条項を「連結ベースの純資産額を2014年度末に対して100%以上を維持する」という内容に変更することで、金融機関と合意。何とか急場をしのいだ。

ただし、今年度も最終赤字になるようだと、純資産は2014年度末よりも減少してしまう。つまり、黒字化が不可欠なのだ。

負の連鎖に陥っている主力事業の悪い流れを断ち切ることができるか。険しい道のりはまだまだ続きそうだ。

「週刊東洋経済」2015年9月12日号<7日発売>「核心リポート01」を転載)

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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