「オミクロン株のなかで病原性が高まっていないのは確かですが、5類移行後の1年間で2万9000人が死亡している。特に高齢者にとってはインフルエンザ以上に負担が大きいといえます。小児は重症化しにくいとはいえ、2023年は15歳未満で44人が死亡しています」(西さん)
重症化だけでなく、疲労・倦怠感や集中力低下といった罹患後症状(後遺症)に悩まされる人もいる。
とにかく、「この病気には、かからないほうがいい。どうやって自分を守るか、重症化や発症予防の選択肢の1つにワクチンがある」(東京大学医科学研究所附属病院感染免疫内科教授の四柳宏さん)ということだ。
2つの条件できまる接種対象者
そうしたなか、この秋から新たな枠組みでのワクチン接種が始まる。
従来の法的位置づけは、蔓延予防に緊急に必要な「特例臨時接種」だったが、今年4月から個人の発症・重症化予防に比重を置いた「定期接種B類疾病」に移行していた。この類型では接種は努力義務ではなく、自治体による勧奨もない。対象者は次のような人で、接種は1回だ。
・60~64歳で心臓、腎臓、呼吸器の機能の障害、またはHIV(ヒト免疫不全ウイルス)による免疫の機能の障害がある
使用するワクチンは、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン3種類と、組み換えタンパクワクチン、そしてmRNAレプリコンワクチンの計5種類。合わせて約3224万回分の供給が予定されている。
費用は、厚労省が1万5300円程度と公表する接種費用のうち8300円を国が助成し、残りの7000円は自己負担。さらに、その一部を自治体が補助し、自己負担を3000~4000円程度に抑える動きが相次いでいる。
自分の住む地域の状況については、自治体のウェブサイトなどでチェックするほか、役所の専門部署に電話などで問い合わせを。かかりつけ医がいる場合は、その医療機関に相談してもいいだろう。
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