セブンより店舗少ない企業が買収提案できる事情 同じ「コンビニ」でもビジネスモデルが対極

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

その後、2000年代に買物の主役たる女性消費者が免許を持ち、軽自動車というパーソナルカーが普及すると、土日のパパドライバーは必須ではなくなった。機動力と選択の自由を得た女性消費者は、当時のロードサイドに勃興しつつあった各種専門店チェーン(ユニクロ、無印良品、ニトリ、ドラッグストア等々)のコスパを支持したため、総合スーパーの広く浅い平板な非食品売場は急速に衰退した。

移動手段などの制約を前提に来店動機を構成しているビジネスは、その制約が失われれば、競争力を失う。専門店集積であるショッピングモールにワンストップショッピングニーズの主役は移り、総合スーパーがどんどん減っている理由はここにある。

日本型コンビニ、スーパーは不要?

こうした閉鎖商圏ビジネスのことを考えながら、ACT社に話を戻せば、セブン&アイへの買収提案の狙いも見えてくるかもしれない。きっと、彼らは本音では、セブン&アイの北米事業しかいらない、のだろう。効率よい北米の閉鎖商圏ビジネスを拡大することが収益を極大化するのであり、その他の事業(日本型コンビニ、スーパーなど)は企業価値向上の阻害要因となりかねない。

その証拠に、8兆円あったACT社の時価総額は買収提案の公表後、市場が嫌気して12%程度下落した。ただ、セブン&アイの企業データを見てみると、これは今買うしかないだろう、と思えてくることも事実だ。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事