セブンより店舗少ない企業が買収提案できる事情 同じ「コンビニ」でもビジネスモデルが対極

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加えて、円安もセブン&アイの株価を割安にした。コロナ前110円前後だったドル円相場はピーク時に160円ほど、少しピークアウトした今でも140円台前半なので、3~4割は割安になっている。こうしたことがセブン&アイ買収提案の発端にはなっているが、そもそも、北米と日本のコンビニは店構えこそ似ているものの、同業とは思えないくらいビジネスモデルが異なっているのである。

日本型コンビニとは対極に位置するビジネスモデル

ACT社のコンビニは基本的にガソリンスタンド併設で、いわば砂漠における燃料と食料の補給所のようなイメージの店であるが、北米におけるコンビニビジネスはこうしたタイプが8割を占めるらしい。

次の補給所まで何時間もかかるようなハイウェイの売店は、極論すれば「食料と燃料は放っておいても言い値で売れる」のだから、収益が高くなるのも当たり前であろう。顧客がよそに行く選択肢がない状況で、優位な立場で商売を行うビジネスは、閉鎖商圏ビジネスと呼ばれ、昔から儲かる商売なのである。

セブン&アイの主力業態である日本型コンビニのビジネスモデルはまったくちがうということはご存じのとおり。世界最大の大都市圏である首都圏から発祥しているセブン-イレブンのキャッチフレーズは「近くて便利」である。密集した店舗網で顧客に近づき、商品の品質、サービスレベルの向上で来店を競う日本型コンビニは、本質的な利便性向上で来店動機を創り出す。

顧客にとってのコンビニエンスを追求し続ける日本型コンビニは、閉鎖商圏ビジネスである北米コンビニとは、ある意味対極に位置する、といっていいだろう。どちらが手間と費用がかかるかといえば、言うまでもなく日本型コンビニであり、同列に並べた場合、収益性で北米モデルに勝つことは困難かもしれない。

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