大阪に爆誕「うめきた公園」があまりに凄かった件 グラングリーン大阪は再開発の転換点になるかも

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例えば、東京・原宿に4月に誕生した「ハラカド」。ここの4階は「ハラッパ」という場所で、店はほぼ何もなく、ただただベンチと緑が広がっている。原宿の交差点角という「超一等地」で、この「何も置かない」選択をしていることが、非常に興味深く感じられたのだ。

ハラカド
ハラカドのようす。ベンチと植栽が広がる(筆者撮影)

あるいは、再開発というよりリニューアルだが、同じく4月に再オープンしたSHIBUYA TSUTAYAもそうかもしれない。

元々のSHIBUYA TSUTAYAは、CDやDVDがぎっしり敷き詰められる空間だったが、リニューアル後は、イベントスペースやポップアップストア、あるいはシェアオフィスやポケモンカードジムなど、「スペース」を押し出す方向性が明確になった。そのスペースをどのように使うのかは、利用者に任されているのだ。ある意味、これもグラングリーン大阪と似た方向性を持っているといえるだろう。

渋谷TSUTAYA
4月にリニューアルオープンしたSHIBUYA TSUTAYA(筆者撮影)

こうした傾向の背景には、人々のライフスタイルや好みが多様化・複雑化していることもある。何か一つの施設を作って固定するより、あえてスペースを空白にしておいて、そこに来た人に好きに使ってもらうほうが、多様なニーズを受け止めることができる。また、コロナ禍以降急速に普及したリモートワークの影響で、シェアオフィスや貸しスペースが一般的になった影響も見過ごせない。

いずれにしても、スペースを生かす再開発の方向性は、これまでの「敷き詰める」再開発の方向性とは、異なる方向性を向いていることは確かである。

グラングリーン大阪と、日本の再開発の「これから」

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筆者は、渋谷をケーススタディとして、現在の街に、無料で休めるスペースが少なくなっていることを指摘してきた。現在の多くの再開発された施設は「インバウンド向け」や「富裕層向け」になっていて、庶民が気軽に立ち寄れたり、休める場所が減ってきているイメージがある(実際、事業者側としても、そうした目的では作っていない場合が多いから当然といえば当然なのだが)。

そんな中、グラングリーン大阪の再開発は、そうした方向とは異なる再開発の方向を向いていると思った。この記事で示してきた、うめきた公園や北館に見られる「開放性」の重視である。いろいろな人々に開かれているスペースをそこに作る、という意図を一利用者として感じた。

グラングリーン大阪
グラングリーン大阪の施設には、至るところに座れる場所があるのも、印象深かった(筆者撮影)

とはいえ、この施設はまだ9月にオープンしたばかりだし、すべての施設が完成したわけではない。実際、筆者が歩いていて問題点を感じる部分も多かった。例えば、うめきた公園の場所がわかりづらいという声は、大阪の人と話していても聞くところである。また、入居するテナントも実験的な店舗が多く、長く根付くかわからないところもある。だから、手放しで賞賛するわけにはいかない。

グラングリーン大阪 館内サイン
館内の表示は複雑なのでわかりにくいのが少々難点(筆者撮影)

ただし、以上のような観点から、この施設の今後の展開は、これからの日本の再開発を見ていくときに重要な示唆を与えてくれるのではないかと考えている。

【画像で見る】東京にもこんな公園が欲しい…大阪梅田に爆誕「うめきた公園」の全貌
谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

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