ゲーム世界の「褒め方」は極めて合理的だった

仕事人にも役立つ「リアクションの本質」

このように、ゲームでは、プレイヤーのアクションに対して、「リアクション」という形で、ゲーム世界の様々な情報を体験としてプレイヤーに「フィードバック」しています。そして、このリアクション(フィードバック)を作り込むことで、ゲームのシステムを説明するだけでなく、プレイヤーの没入感を高め、ゲーム世界に広がる物語をも想像させることができるのです。

面白い!と感じるリアクションの質・量・タイミング

ゲームにおいて重要な要素となる「リアクション」ですが、深く考えられていないリアクションだと、プレイヤーは面白いと感じません。リアクションには、プレイヤーが面白いと感じる適切な「質」「量」「タイミング」があります。

「質」とは、最初に説明したリアクションの中身のことです。リアクションの質が適切でないと、プレイヤーは「嘘」のように感じられます。例えば、現実の世界で、会社に出社して「おはようございます」とあいさつする状況で考えてみましょう。このとき、先輩が「おぉ、すごいね、君、あいさつできるんだ!」とリアクションを返しても、バカにされているのか皮肉にしか聞こえません。これが「質」の問題です。

同じように「量」も適切でなければなりません。1回の「おはようございます」に、何度も「おはよう! おはよう! おはよう!」と返されてもうっとうしく感じるだけです。

最後に、「タイミング」です。あなたが「おはよう」と挨拶してから1分後に先輩から「おはよう!」と挨拶されたら、戸惑うでしょう。普通の挨拶であれば、数秒で返事をしてくれるからです。ゲームの場合、リアクションにリアリティを持たせるには、現実世界と同じような「間」を重視します。たとえグラフィックがリアルでないアニメ調の画であったとしてもです。リアクションのタイミングだけは、リアルでなければ、違和感を覚えるのです。

ゲームでプレイヤーをおもしろがらせるには、リアクションの「質」「量」「タイミング」を適切に、かつ、リアルにする必要があるのです。

ここまでの説明で、少しずつリアクションの本質が見えてきたと思います。しかし、リアクションには、もうひとつ重要な要素があります。それは、「ポジティブなリアクション」と「ネガティブなリアクション」です。

「ポジティブなリアクション」とは、一言で説明すると「褒める」ことです。プレイヤーのアクションに対して、それがゲームの世界の正解だったり、望ましい行動であれば、「ポジティブなリアクション」を返します。

逆に、プレイヤーにとって良くない結果をもたらすアクションをした場合、ゲームは「ネガティブなリアクション」を返します。わかりやすくいうと「注意」を促すわけですね。

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