「若手を叱るな」「本気ですか?」で組織崩壊の悲劇 「プライドを傷つけない」叱り方を全力で考えよ

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ただ、こういった叱り方をしたほうがいいと頭ではわかっていたとしても、怒りが生じるとそれが難しくなります。

怒りという感情は心拍数を上げ、戦闘態勢をとらせ、攻撃心を喚起し、「怒る」というコミュニケーションをとらせようとします。

部下を叱ることは必要ですが、部下を怒ってはいけません。そこで知っておいていただきたいのが、「叱る」と「怒る」の違いです。

「叱る」は相手や組織のために相手の行動を改善させるためのコミュニケーションであり、その目的は「行動変容」です。

一方、「怒る」は生じた怒りを相手にぶつけるコミュニケーションであり、その目的は「攻撃」です。その攻撃の効果を高める方法が「プライドを傷つける」という方法です。

そのため、怒りが生じるとわざとプライドを傷つけようとさえします。

叱る目的を常に意識する

そうならないためにも、怒りが生じているときは、部下を叱ろうとせず、一旦、怒りが収まるまで待つことです。

そして叱る際も、叱る目的は「攻撃」ではなく「行動変容」だということを常に意識してください。

叱り始めて言葉を発するにつれ、怒りがこみあげてくることもあります。その場合、攻撃心も芽生えます。

その攻撃心が大きくなる前に「今回の目的は攻撃ではない。行動変容だ」と目的に立ち返ることで、冷静になるきっかけが得られます。

また、どんな叱り方にせよ、叱ることで若手が離職するリスクはあります。

離職は会社にとっても大きな問題であるため、叱る前に上司や上層部に確認を取る、あるいは同席してもらうことも検討したほうがよいでしょう。

このようにして、離職のリスクを極力抑えながら、叱るべき点は叱ることで、組織の規律や雰囲気、士気を保ち、健全な組織運営を目指していただければと思います。

藤田 耕司 経営心理士、税理士、心理カウンセラー

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ふじた こうじ / Koji Fujita

一般社団法人日本経営心理士協会代表理事、公認会計士、税理士、心理カウンセラー。これまで1200件超の経営相談を受け、心理学と会計を活用した経営改善を行う。その経験から経営者の心理、部下の心理、顧客の心理を分析し、経営心理学として体系化することで経営改善の成果を高める。また、経営心理学を学ぶ「経営心理士」の資格を創設。経営心理士講座の受講生はのべ5000名を超え、その内容は大手企業や省庁でも導入される。著書に『リーダーのための経営心理学』(日本経済新聞出版社 日本、台湾、韓国の3カ国で出版)、『経営参謀としての士業戦略』(日本能率協会マネジメントセンター)。

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