「若手を叱るな」「本気ですか?」で組織崩壊の悲劇 「プライドを傷つけない」叱り方を全力で考えよ
私は経営心理士、公認会計士として経営心理学に基づいた経営改善の仕事をしていますが、その中で多くの経営相談を受けます。
その中には「若手を叱るなという指示を出したものの、それが原因で組織が乱れ始めた。どうすればよいか」という相談が何度かありました。
「若手を叱るな」といった指示を出す会社はありますが、それで若手社員が頻繁に問題行動を起こさなければ、その指示は問題なく運用できます。
しかし、若手社員が頻繁に問題行動を起こす場合、この指示は会社を崩壊に導きます。
ある建設関連の会社では、社長が離職防止のために、上司が部下を叱ることを禁じました。
そのため、若手社員が遅刻をしても上司は見て見ぬふり。それによってその若手社員は頻繁に遅刻をするようになり、その状況に他の社員は苛立ちを覚えます。こういった場合、その苛立ちは部下を叱ることを禁じた人に向かうようになります。
そして、あるベテラン社員が社長に抗議するかのように、わざと遅刻するようになりました。ただ、部下を叱るなと言った以上、社長もそのベテラン社員を叱れず、会社の空気は険悪になり、社員のモチベーションは大きく下がっている状況。
このままだと組織が崩壊しかねないという相談もありました。
叱らないということの弊害
募集をかけてもなかなか人が採れない会社は、やっとの思いで採用した新人が離職をすることを恐れ、腫れ物に触るように関わる会社も多いです。
そういう会社では「若手を叱るな」という指示を出すことも珍しくないのです。
たしかに今の若手社員は、叱るとすぐ辞めるというのは傾向としてあります。
それはストレスに弱い、学生時代に叱られたことがあまりないため叱られることの耐性がないということに加え、今は圧倒的な売り手市場のため、転職先は探せばすぐ見つかるという状況も影響しています。
しかし、ルールを破ったときなど、叱るべきときに叱らないと、部下は「これは叱られないんだ」と学習し、また同じことを繰り返します。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら