世界で「民主主義」が危機を迎えている根本理由 「民主主義が民主主義を殺す」時代になっている
民主主義は政権交代を通じて諸問題を解決していく仕組みですが、現代社会は環境問題をはじめとして長期的課題を抱えています。こうした問題は数年ごとに選挙が行なわれるサイクルでは解決できません。その苛立ちが、極端な思想や政策を主張する勢力が伸びることにつながるのでしょう。
スティーブン・レビツキーとダニエル・ジブラットは『民主主義の死に方』の中で「柔らかいガードレール」といって相互的寛容と組織的自制心という2つの規範が民主主義を支える根底にあるといっています。
トランプが勝利することが「民主主義」?
この2つの精神がなければ、対立が罵り合いになり、話し合うこと自体が不可能な状況になります。法律に反していないのだから何をやったっていいだろうとか、民主主義は多数決なんだから選挙で勝った者は何をしてもいい、といった単純な原則に有効な反論がなかなか見当たらないところが大問題なのです。つまり、民主主義を殺すのはクーデターをはじめとする暴力ではなく民主主義の原則なのかもしれないということです。
『民主主義の死に方』は、2016年のアメリカ大統領選挙でトランプが当選した衝撃を受けて書かれたものです。それほどまでにトランプなる存在が民主主義を瓦解させる危険性があるというのに、2024年のアメリカ大統領選挙でのトランプの再選をアメリカ本国のみならず日本でも待ち望んでいる人がいることがネット上で散見されます。しかも彼らにとってはトランプが勝利することが民主主義なのです。これが民主主義によって民主主義が殺されるということです。
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