世界で「民主主義」が危機を迎えている根本理由 「民主主義が民主主義を殺す」時代になっている

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1950年代以降はソ連側の社会主義に対抗して、「民主主義のほうが素晴らしいよ」(内実はどうあれ)というメッセージが世界中に広がり、民主主義が拡大していきました。ところが、我々の社会は大きく変化しました。

その背景には1990年代から進んだ第3次産業革命、そして現在進行中の第4次産業革命があります。加えて経済のグローバル化が進展して一国の経済活動が世界の経済状況に連動するようになり、生活が苦しくなったと感じている人たちにしてみれば、民主主義にはさほど意味を感じないかもしれません。こうした変化に対応することと民主主義はあまり関係ないと考えられるからです。

民主主義に代わって台頭する「権威主義」

代わって台頭してきているのが、権威主義国家の典型例ともいえる、選挙独裁ですらない中国です。21世紀に入って一番経済成長を遂げたのが中国ですから、その影響は大きいものがあります。人権問題を理由に欧米からの援助が得られない国に中国が手を差しのべれば、自然と中国的な政治手法や政治的価値観が広がりを見せていくでしょう。

もう1つが選挙独裁の典型例であるロシアの存在です。イギリスのブレグジットや、2016年のアメリカ大統領選でのトランプ当選をめぐって、ロシアがインターネットを使ってフェイクニュースを流し恐怖を煽り、結果にそれなりの影響を与えたことが問題になりました。まさに政治体制の違いで対立を見せていた冷戦時代に戻っているかのようです。

(画像:大和書房提供)

他にもアイデンティティ政治(価値の分配の政治)によって国内の分断が広がっていることや、グローバル化による移民の急増によって社会が不安定になってきていることも民主主義を危ういものにしているのでしょう。

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